Aterm 19000T12BEのプロセッサ等に関する情報

2026年にNECプラットフォームズから発売されたWi-Fi 7(IEEE 802.11be)対応ルーター「Aterm 19000T12BE」について、公開されているソースコードの内容からハードウェア構成を推定する記事です。

スポンサーリンク

はじめに

本記事は公開されている範囲のソースコードから得られた情報を基に構成されています。実際の仕様と完全に一致していない可能性がある点を予めご了承下さい。

NECプラットフォームズは自社の個人向け無線LANルーターが搭載するプロセッサの情報をほとんど公開しておらず、唯一の公式な情報は「Aterm Station」の製品比較表においてCPUのコア数が公開されているのみとなっています。19000T12BEも例外ではなく、クアッドコアCPUを搭載していることが比較表の記載から判別できるのみです。ただし他のNECプラットフォームズ製品と同様にGPL/LGPLが適用されるファームウェアのソースコードが公開されているため、ソースコードの内容を基にハードウェア構成の推定を試みました。

ソースコード内のfiles-6.6/arch/arm64/boot/dts/qcomには複数のDTS(Device Tree Source)ファイルが配置されていますが、このうちNECプラットフォームズにより記述された箇所と見られる/* NECPF */等のコメントがあり、かつgpio-keysで定義されているボタンの構成が19000T12BEのもの(SET・保守・RESET)と一致するのはipq5424-riva.dtsのみであったことから、ipq5424-riva.dtsの内容を詳しく見てみます。

プロセッサ

ファイル名に含まれる「IPQ5424」はQualcommが2024年に発表したネットワーク機器向けプラットフォーム「NPro A7」の型番です。当初は「Networking Pro A7」として発表されたものの、後に他のネットワーク機器向け製品と合わせて改称されました。files-6.6/arch/arm64/boot/dts/qcom内の他のDTSファイルにはNECPFの記述がないことから、19000T12BEに搭載されているプロセッサはIPQ5424の可能性が高いと考えられます。ipq5424-riva.dtsから参照されるipq5424.dtsi内のCPUに関する記述によるとコア構成は4基のArm Cortex-A55、動作周波数は最大1.8GHzです。

有線I/F

ipq5424-riva.dtsではQualcomm NSS-DP(Networking SubSystem DataPlane)を用いたネットワークインターフェースとしてdp1~dp3が定義されています。dp1およびdp2はPHYモードがUSXGMII(Universal Serial 10 Gigabit Media Independent Interface)に設定されており、19000T12BEのWAN端子・LAN1端子はIPQ5424が備えるUSXGMIIに10GBASE-T PHYを接続する形で実装されていることが見て取れます。

Product BriefによるとIPQ5424は3基のUSXGMII(もしくはSGMII+)を備えていますが、19000T12BEで10GbEに対応している端子は前述の2基のみで、残る3基のLAN端子は1000BASE-Tまでに留まっています。これらLAN2~LAN4端子の実装には他社の無線LANルーターでも採用されているGbEスイッチチップセットのRealtek RTL8367SC(5ポート分のGbE PHY内蔵)が用いられ、PHYモードがSGMIIに設定されたdp3を介してIPQ5424と接続されているようです。

無線I/F

ipq5424.dtsiによるとIPQ5424はPCI Express 3.0 x1対応のpcie0pcie1、同 x2対応のpcie2pcie3から成る計4基・6レーンのPCI Expressインターフェースを備えています。ipq5424-riva.dtsではpcie2pcie3に接続されたQualcomm QCN9224がそれぞれwifi3wifi4と定義され5GHz帯および6GHz帯の無線インターフェースとして動作、pcie0pcie1は使用されていないようです。ただしQualcommの無線LANチップセットにおけるQCN9xxxシリーズはエンタープライズ・産業向けの機器で用いられることが多いため、個人向けである19000T12BEに搭載されているのがDTSの定義通りQCN9224なのか、主にコンシューマー向け機器で用いられるQCN6274・QCN6224といった他のIEEE 802.11be対応モデル(QCN6xxxシリーズ)であるかは不明です。

2.4GHz帯についてはIPQ5424が4ストリーム構成の2.4GHz帯無線インターフェースを含んでいるため、同じくIPQ5424を搭載するXiaomi BE10000 ProのようにQCN5024等のチップセットを接続する形で実装されているものと考えられます。

The IPQ5424 is an IEEE 802.11be 2 GHz WiFi device, supporting 4x4 configurations.

https://lwn.net/Articles/1065505/

拆解小米新款双万兆,最不像路由器的路由器 - YouTube(Xiaomi BE10000 Proの内部構造)

10GbE PHY

u-boot/arch/arm/dts以下にもipq5424-riva.dtsが配置されており、2箇所のPHYにphy_idとしてMV_X3510_PHY_TYPEの記述が見られることから、WAN端子とLAN1端子の10GbE対応のためにMarvellの10GBASE-T PHYが搭載されている可能性があります。"X3510"に該当すると思われるMarvell製PHYとしては10GBASE-T対応SFP+モジュールに搭載された形で流通が確認できる「CUX3510」が存在するようですが、Marvellから情報が公開されていないため詳細は不明です。

10GBase-T SFP+ to RJ45 Copper Transceiver|30m/80m/100m|Cisco/Ubiquiti Compatible - LuLeey.com|ワンストップ光製品サプライヤー