ASRock、「DeskMini Max」を公開・PCIeグラフィックボードを搭載可能な大型モデルに

2021年5月31日~6月30日の日程でオンライン開催されているCOMPUTEX TAIPEI 2021の出展情報ページで、ASRock Incorporationのベアボーンキット「DeskMini Max」が公開されています。

価格や発売日などの詳細は現時点で明らかにされていません。

COMPUTEX TAIPEI Virtual-Product Info.-DeskMini Max-ASROCK INCORPORATION

台北國際電腦展線上展-產品資訊-DeskMini Max-華擎科技股份有限公司(archive.is)

※2021/06/24追記:記事内の情報をASRockの正式発表に基づくものに更新しました。(製品ページが未公開のため確定していない部分が残っています)

※2021/06/19追記:2021年6月17日に株式会社サードウェーブの「ドスパラチャンネル」で配信された内容に基づく情報を追記しました。
日本で売れる?ASRock新発表のミニベアボーンの仕様を原口さんと見てみた【週刊ドスパラTV 第243回 6月17日放送】 - YouTube

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PCI Expressボードのサポート

DeskMini MaxはSocket AM4に対応するAMD X300チップセットのベアボーンキットで、現行製品「DeskMini X300」との決定的な違いはPCI Expressグラフィックボード・Ryzen CPU(GPUが内蔵されていない=APUではない製品)のサポートです。

DeskMini X300および「DeskMini A300」はPCI Expressスロットを備えておらずグラフィックボードを含む各種PCI Express拡張ボードの取り付けが原則として不可能でしたが、DeskMini MaxにはPCI Express 3.0 x16スロットが1基用意され、ボード長が最大200mmまでの小型モデルに限られるもののユーザーが用意したグラフィックボード等を取り付けられるようになりました。
(Socket AM4モデル・PCI Expressスロットに限らない場合、MXMタイプのグラフィックボードを搭載可能な『DeskMini GTX (Z390)』『DeskMini GTX/RX』などが過去に投入されています)

4スロット分の高さが確保されており、他のコンポーネントと内部空間を共有しています(後述)。

正式発表と同時に公開された動画には全長190mmのASRock AMD Radeon RX 5500 XT Challenger ITX 8Gを搭載する様子が写っています。

Ryzen CPUのサポート

また、従来モデルではグラフィックボードを取り付けられないためGPUを内蔵する"Renoir"、"Picasso"、"Raven Ridge"などのAPUのみがサポートされていましたが、DeskMini MaxではTDP 105WまでのRyzen 5000/4000/3000/2000シリーズ CPUおよびAPUが利用可能になっています。(サポートされるCPU/APUの具体的な型番は現時点で未公開)

対応CPUクーラー

CPUクーラーの最大高は最大54mmで、DeskMini X300の最大46mmに比べれば多少緩和されているものの、大型のサイドフロータイプなどを搭載できない点は変わりません。

※2021/06/19追記:「ドスパラチャンネル」の配信で公開された資料ではCPUクーラー最大高は46mmとされており、電源ユニットをSFXのものに交換した場合は63mmまでのクーラーを搭載可能となっています。

上部スペースに余裕がある場合は空冷クーラーに代えてシングルファンの簡易水冷クーラーを搭載することも可能です。

DeskMini Maxの対応メモリ

DeskMini X300は2基のSO-DIMMスロットを備え最大64GBまでのDDR4-3200に対応していますが、これに対してDeskMini Maxは4基のDIMMスロットを備え最大128GBまでのDDR4-3200に対応しています。

4基のDIMMスロットを実装するスペースを確保するためか、DeskMini Maxで用いられるマザーボード(配信資料・公式動画では『X300-ITX』)のレイアウトは同じくASRock製の「X300TM-ITX」やDeskMini X300用「X300M-STX」と異なり、Mini-ITXをベースに延長された特殊なものとなっています。

DeskMini Maxの対応ストレージ

DeskMini Maxは1基のM.2 NVMe / SATA SSDスロットを備えるほか、マザーボード部分に2基のSATA端子が用意されており、前面のドライブベイに2.5インチ×2または3.5インチ×1のSSD/HDDを搭載できます。

用途によっては上部スペースに5.25インチ光学ドライブや追加の3.5インチドライブを搭載することも可能ですが、同じ空間をPCI Expressスロットおよび簡易水冷CPUクーラーのラジエーターと共有しているため、追加の3.5インチドライブ・5.25インチドライブ・PCIe拡張ボード・ラジエーターをすべて共存させることはできません。

DeskMini Max reserves four PCIe slot space for all of your peripheral devices, including the PCIe card, 5.25” ODD, 3.5” HDD or single radiator liquid cooler.

https://www.computextaipei.com.tw/en/product/59B7A085C9FE2B65D9F0A542F47CED2F/info.html

DeskMini Maxの電源

DeskMini Maxは標準で500W / 80PLUS BRONZEのATX電源ユニットを内蔵しており、DeskMini X300/A300のような専用ACアダプタによる駆動には対応していません。

標準の電源ユニットはMini-ITXサイズのケースに合わせてケーブルの長さが調整されている他、ケース外部から吸気を行いCPU・電源回路の冷却に用いることができるファンを搭載しているようです。SFXフォームファクタの電源ユニットもサポートされています。

その他仕様

USB端子はいずれも最大5GbpsのUSB 3.2 Gen 1(USB 3.1 Gen 1 / USB 3.0)または最大480MbpsのUSB 2.0に留まっており、最大10GbpsのUSB 3.2 Gen 2はサポートされていません。

映像出力端子はHDMI・DisplayPort・D-Subを各1基備えており、いずれも既存モデルと同じくAPU装着時のみ利用可能です。

拡張ボードのサポートや電源ユニットの内蔵に伴い筐体は大型化しており、外寸はDeskMini X300のW80×D155×H155mmに対してW168×D220.8×H268mm、容積はDeskMini X300の1.92リットルに対して9.94リットルで、DeskMiniブランドは維持されているものの従来製品とは一線を画するMini-ITXケース相当のサイズとなっています。

その他、DeskMini Maxと従来製品の主な仕様は以下の通りです。

DeskMini MaxDeskMini X300(参考) DeskMini GTX (Z390)
対応CPU/APUAMD Ryzen CPU/APU対応
5000/4000/3000/2000シリーズ
最大TDP 105W

クーラー最大高46mm?
簡易水冷対応 ※
AMD Ryzen APU対応
4000/3000/2000シリーズ
"Renoir" / "Picasso" / "Raven Ridge"
最大TDP 65W
クーラー最大高46mm
Intel 第8/9世代プロセッサ対応
最大TDP 65W
クーラー最大高46mm
CPUソケットSocket AM4Socket AM4LGA1151
チップセット
(マザーボード)
AMD X300
(X300-ITX)
AMD X300
(X300M-ITX)
Intel Z390
(Z390M-STX MXM)
メモリスロットDIMMスロット×4(最大128GB)SO-DIMMスロット×2(最大64GB)SO-DIMMスロット×2(最大32GB)
拡張ボードスロットPCI Express 3.0 x16×1(最大200mm)なしMXMボードスロット×1(Type A/B/B+)
ストレージ関連M.2スロット×1(PCIe x4/SATA)
SATAⅢ端子×2
2.5インチベイ×2 or 3.5インチベイ×1
3.5インチベイ×1 ※
5.25インチベイ×1 ※
M.2スロット×1(PCIe x4)
M.2スロット×1(PCIe x4/x2)
SATAⅢ端子×2
2.5インチベイ×2
M.2スロット×2(PCIe x4/SATA)
M.2スロット×1(PCIe x4)
SATAⅢ端子×2
2.5インチベイ×2
無線LAN+BluetoothM.2 2230 Key EスロットのみM.2 2230 Key EスロットのみM.2 2230 Key Eスロットのみ
有線LAN1000BASE-T×1(RTL8111H)1000BASE-T×1(RTL8111H)1000BASE-T×1(I219-V)
映像出力端子HDMI×1
DisplayPort×1
D-Sub×1
HDMI×1
DisplayPort×1
D-Sub×1
HDMI×2
DisplayPort×1
mini DisplayPort×1
USB端子USB 3.2 Gen 1 Type-C×1(フロント)
USB 3.2 Gen 1 Standard-A×2(フロント)
USB 3.2 Gen 1 Standard-A×2(リア)
USB 2.0 Standard-A×2(フロント)
USB 2.0 Standard-A×2(リア)
USB 3.2 Gen 1 Type-C×1(フロント)
USB 3.2 Gen 1 Standard-A×1(フロント)
USB 3.2 Gen 1 Standard-A×1(リア)
USB 2.0 Standard-A×1(リア)
USB 3.1 Gen 2 Type-C×1(フロント)
USB 3.1 Gen 2 Standard-A×1(フロント)
USB 3.1 Gen 2 Standard-A×2(リア)
USB 3.1 Gen 1 Standard-A×2(リア)
電源ATX 500W
80PLUS BRONZE
SFXサポート
ACアダプタ駆動(120W/19V)ACアダプタ駆動(220W/19V)
サイズ / 容積W168×D220.8×H268mm / 9.94LW80×D155×H155mm / 1.92LW81.9×D154.5×H213mm / 2.7L
※:スペース共有・併用不可の場合あり

COMPUTEX TAIPEI 2021ではモバイル向けのRyzen 5000シリーズ APUを搭載した小型ベアボーンキット「Mars 5000U」も公開されています。