Googleは2022年10月4日、メッシュネットワーク製品「Nest Wifi Pro」を発表しました。アメリカにおける価格は199.99ドル（1台）・299.99ドル（2台セット）・399.99ドル（3台セット）です。日本国内での販売に関する情報は公開されていません。
Tech specs for Nest Wifi Pro, Nest Wifi, and Google Wifi - Google Nest Help
Nest Wifi Proの仕様
Nest Wifi Proは6GHz帯でIEEE 802.11ax（Wi-Fi 6E）による最大2,400Mbps（2ストリーム/160MHz）、5GHz帯でIEEE 802.11ax（Wi-Fi 6）による最大2,400Mbps（2ストリーム/160MHz）、2.4GHz帯で同600Mbps（2ストリーム/40MHz・速度はいずれも公称表記）の通信が可能なトライバンド「AXE5400」クラスの製品です。
ただしアメリカ以外の地域では仕様が異なり、5GHz帯の最大帯域幅が80MHzに制限されることで通信速度が最大1,200Mbpsに低下したトライバンド「AXE4200」クラスとなります。6GHz帯および2.4GHz帯の通信速度に変更はありません。詳細は後述します。
Outside the US, only 80MHz supported channels are available (1.2 Gbps)
https://support.google.com/googlenest/answer/12367191
WAN/LAN兼用端子として1000BASE-T対応のRJ-45端子を2基備え、DC電源端子への給電（22.5W・10V/2.25A）で動作します。USB端子は備わっていません。SoCは2コア 1.0GHzのCPUを含むQualcomm IPQ5018を採用。1GBのRAMと8GBのeMMC（イギリスのGoogle Storeでは4GBのフラッシュメモリ）が搭載されています。
Nest Wifi Proルーターと組み合わせることができるのはNest Wifi Proルーターに限られ、旧Nest WifiやGoogle Wifiとの組み合わせは不可能です。旧Nest WifiにはLAN端子がなくスマートスピーカーを備える拡張ポイントが存在しましたが、Nest Wifi Proでは「ルーター」に統一されています。
筐体は丸みを帯びた縦置き前提のデザインで、旧Nest WifiやGoogle Wifiのような円筒状ではなくなりました。カラーバリエーションはSnow / Linen / Fog / Lemongrassの4種が用意され、寸法はW117×H130×D85mm、重量は約450gです。
Nest Wifi Proの速度が米国と他の地域で異なる理由
仕様の項で触れた通り、Nest Wifi Proはアメリカ合衆国に限り5GHz帯で160MHzのチャネルを用いた最大2,400Mbpsの通信が可能ですが、他の地域では5GHz帯で使用できるチャネルが最大80MHzに制限され、通信速度が最大1,200Mbpsに低下する仕様となっています。発表に先立って公開されていたFCC認証資料を確認すると、Nest Wifi Proが5GHz帯のW53/W56をサポートしていないことが原因であると思われます。
5GHz帯において連続した160MHz幅のチャネルを確保するための候補としては以下の3つがあります。
- 5.2GHz帯 (U-NII-1) + 5.3GHz帯 (U-NII-2A) 要DFS
- 5.6GHz帯 (U-NII-2C) 要DFS
- 5.8GHz帯 (U-NII-3) + 5.9GHz帯 (U-NII-4) DFS不要
FCC認証資料によるとNest Wifi Pro（モデル番号：G6ZUC）は5.2GHz帯・5.8GHz帯・5.9GHz帯に対応し、5.3GHz帯および5.6GHz帯には非対応です。結果として160MHz幅のチャネルを確保できるのは上記3.の5.8GHz帯 + 5.9GHz帯に限られますが、アメリカ以外の地域では5.9GHz帯（U-NII-4）相当の周波数帯が無線LANシステム向けに開放されていない、もしくは部分的開放に留まっているため、確保可能なチャネルが5.2GHz帯もしくは5.8GHz帯のみで完結する80MHz幅に制限され、通信速度に差が生じるようです。
なお、5.3GHz帯・5.6GHz帯のサポート状況は現在発表されているG6ZUCのものであり、今後別のモデルが投入された際は異なる仕様となる可能性があります。
291074 U-NII 5.9 GHz, U-NII-4, 5.850-5.895 GHz band, 15E（FCC）
