Intel、WiGig対応カードやアンテナの製造を終了 WiGigの行く先は

米メディアAnandTechは9月8日、Intelが一部のWiGig/IEEE 802.11ad対応製品の製造を終了すると報じました。

Intel Discontinues WiGig Cards, Antenna and Sink, Set to Focus on WiGig for VR

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WiGig関連の現行製品を一斉にクローズ

該当する製品は

  • Tri-Band Wireless-AC 18260(カード)
  • Wireless Gigabit W13100(ワイヤレスドック用モジュール)
  • Wireless Gigabit W11000
  • Wireless Gigabit Antenna-M M10041

の4種で、IntelのQuality Document Management System(QDMS)上で確認できる8月25日付の資料には、これらの製品の製造を順次終了し、IntelはVRでの利用を想定したWiGig製品に注力していくことが記載されています。

http://qdms.intel.com/dm/d.aspx/CEB3F9BC-5E2B-4F66-9CF5-224B4A18986C/PCN115777-00.pdf

Intel isannouncing the discontinuance of the Intel® Tri Band Wireless-AC 18260 Products. Intel will focus
its efforts on current and future WiGig for VR Products.

http://qdms.intel.com/dm/d.aspx/CEB3F9BC-5E2B-4F66-9CF5-224B4A18986C/PCN115777-00.pdf

IntelのVR+WiGig戦略

IntelはVRヘッドセット無線化のためにWiGigを使う方向へ進んでおり、今年1月のCES 2017ではHTCとの提携を、6月のE3 2017ではHTCのVRヘッドセット「Vive」とDisplayLinkのVR無線化ソリューション「DisplayLink XR」を組み合わせた実働状態のものを公表していました。

WiGigがこの先生きのこるには

昨年11月に「5分で知る802.11ad/WiGig対応ルーター」という記事を投稿しましたが、それから1年近くが経とうとしている現時点でもWiGig/IEEE 802.11adを取り巻く環境には変化が殆どなく、良くなっているとも思えません。

NETGEARはNighthawk X10 R9000を日本国内でも発売しましたが、その他のWiGig対応製品は投入していません。

TP-Linkには国内市場へのTalon AD7200の投入予定があったようですが、6月に開催された製品発表会において「対応子機の少なさから発売の可能性がなくなった」旨を明らかにしています。

一部マザーボードで802.11adに対応しているASUSは、Wi-Fiルーターでは制定中のIEEE 802.11axを採用した製品へ進んでしまいました。

ごく近距離での高速通信という特徴を活かせていたはずのPC向けワイヤレスドックも一部メーカーの限られた製品でしか利用できず、加えて今回ワイヤレスドック向けにWiGig対応製品を展開していたIntelが製造を取りやめるという憂き目を見ることになります。

近距離・高速通信を活かせるであろうVRヘッドセット向けにわずかな居場所を見出すのか、このままフェードアウトしていく規格となるのか、はたまた想定外の一発逆転が起きるのか、一向に製品が増えないWi-Fi CERTIFIED WiGigのデバイス一覧を見ると悲観的な想いが浮かぶばかりです。