SOUNDPEATSのBluetoothヘッドホン「SOUNDPEATS Space」を入手しました。本記事では同製品の機能や使用感を見ていきたいと思います。
概要
SOUNDPEATS Spaceは40mm口径のドライバーを備えるオーバーヘッド型ステレオヘッドホンです。Bluetoothの対応プロファイルはA2DP/AVRCP/AVCTP/AVDTP/HID/HFP、対応するコーデックはSBC/AACで、Qualcomm aptXシリーズ(aptX/aptX Adaptive/aptX LL)やLDAC、LC3(Bluetooth LE Audio)には対応していません。BluetoothチップセットはJieLi(珠海市杰理科技股份有限公司)製の"JL7018F6"です。
周囲のノイズを軽減するアクティブノイズキャンセリング(ANC)機能、反対にヘッドホンを取り外すことなく外部の音を聞き取れる外音取り込み(トランスペアレンシー)機能を搭載し、ヘッドホン本体のボタン操作で切り替えが可能です。
一世代前のSOUNDPEATS A6比で2倍となる1,000mAhのバッテリーを搭載し、1回のフル充電(約2時間)で最大123時間の連続使用が可能であると謳われています。また、3.5mmステレオミニジャックからの音声入力は充電なしでも利用できます。
外観・付属品
ハードウェアの造りはしっかりとしており、チープさや構造上の脆さは感じられません。ハウジング部にはSOUNDPEATSのワイヤレスイヤホン類と同様に「S」の意匠が見られます。今回使用したものはブラックですが、この他にホワイトとベージュ(イエロー)のカラーバリエーションが用意されています。
3.5mmステレオミニジャックと音量調節ボタン・電源ボタンは右(R)側に、USB Type-C端子とANC切り替えボタンは左(L)側に設けられています。
付属品は充電用のUSB Standard-A to Type-Cケーブル、AUX接続用の3.5mmステレオミニケーブル、取扱説明書と簡素です。緩衝材でヘッドホン本体を保護した梱包となっているものの、携帯用のキャリングケース類は付属していません。
接続
電源がオフの状態で電源ボタンを5秒間長押しするとペアリング待機状態に入ります。Google Pixel 6(Android 14)とペアリングしたところ、デフォルトで「HDオーディオ: AAC」としてAACによる接続が行われました。開発者向けオプションの「Bluetooth オーディオ コーデック」および「Bluetooth Codec Changer」から選択できるコーデックは公称通りSBC/AACです。
有線接続(AUXモード)
SOUNDPEATS SpaceはBluetooth接続に加え、付属のオーディオケーブルによる有線接続(AUXモード)をサポートしています。Spaceの電源を切った状態で出力元の機器と接続するとAUXモードによる音声出力が行われ、ANCボタンを3秒間長押しするとANC/トランスペアレンシーモードのオン・オフ切り替え、短押しでANC⇔トランスペアレンシーモード間の切り替えが可能です。(ANC/トランスペアレンシーモードを利用する場合はSpaceのバッテリーが充電されている必要があります)
使用感
SBC/AACのどちらで接続した場合でも、音質上の不満は特にありません。
アクティブノイズキャンセリング(ANC)機能の効果は概ね良好です。一般的なANC対応ヘッドホン・イヤホン同様、話し声など連続しない音は打ち消せないものの、列車の走行音や空調音、PCのファン動作音など連続したノイズはほぼ大半をカットできていると感じました。ただしANC用マイクの配置によるものか、頭の向きを変えた際に音の聞こえ方が多少変動する点がやや気になりました。
長時間の装着による耳への負担は他のオーバーヘッド型ヘッドホン同様に存在するものの、Space特有の構造に起因する装着時の不快感も特段認識できるものではありませんでした。
遅延
SOUNDPEATS Spaceには音声再生時の遅延軽減を謳う「ゲームモード」が実装されており、電源ボタンを短く3回押すことでオン・オフを切り替えられます。
今回はゲームモードの効果を確認するため、SOUNDPEATS SpaceをGoogle Pixel 6(Android 14)にSBCで接続し、「Superpowered Mobile Audio Latency Test App」で遅延のテストを行いました。同アプリではオーディオ再生機器から発せられた音を端末のマイクで捉え、音声の遅延を計測することができます。計測時のサンプルレートは48,000Hz、APIはAAudioです。
ゲームモード無効時のラウンドトリップレイテンシは200ms台(最終計測結果213ms)なのに対し、ゲームモードを有効にすると100ms台前半(最終計測結果111ms)までの軽減が確認できました。体感できるレベルの音質への影響は見られません。
所感
ANCの動作にやや微妙な部分があるものの、この価格帯で入手できるANC対応Bluetoothヘッドホンとして必要な点は概ねクリアしていると感じられました。