
VITUREから発売されたXRグラス「Luma Ultra」を入手しました。旧モデルであるVITURE Proとの違いや、VITURE Pro ネックバンドと組み合わせての6DoF動作・ハンドジェスチャー操作の使い勝手などを見ていきたいと思います。
製品概要
VITURE Luma Ultraは2025年11月18日に国内で発売されたXRグラスです。2023年発売のVITURE One、2024年発売のVITURE Proに続く3世代目のXRグラスであり、内蔵カメラと外部機器の併用による6DoF(Degree of Freedom)動作が可能になったほか、他社製品を含めたXR/ARグラスの中で最も明るい1,500nitsの画面輝度、縦1200pのディスプレイによる従来モデルよりも高精細な表示と視野角の拡大、グラスに内蔵されたライトエフェクトといった特徴を備えています。
2025年夏より国内でも販売されているVITURE Pro ネックバンドと組み合わせることで、6DoF動作に加えてPro ネックバンドが対応するハンドジェスチャー操作の精度を向上させることも可能です。また、Pro ネックバンドには6DoFとハンドジェスチャーを体験できる専用アプリも用意されています。
VITURE LumaシリーズにはLuma・Luma Pro・Luma Ultraの3モデルが含まれ、それぞれが異なる特徴でラインナップを形成しています。
Lumaはエントリーモデルに位置付けられ、VITURE独自の磁気コネクタではなく一般的なUSB Type-C端子を備えています。視野角は50°と他のモデルの52°よりも狭い反面、視度調整機能は最も広い-6.0Dまでをサポートしています。6DoF動作に必要なカメラは搭載されておらず、Pro ネックバンドやSpaceWalker(Windows/Mac/Android/iOS)に接続しての3DoF動作のみ利用可能です。
Luma ProはVITURE Proに相当するスタンダードモデルであり、Proよりも広がった52°の視野角と最大1,000nitsの画面輝度が確保されています。レンズ間には1基のRGBカメラがあり、これを用いて限定的な6DoF動作が可能(ソフトウェア更新で対応予定・2025年11月現在は未提供)となっています。なお、このモデルのみ日本市場には投入されていません。
Luma Ultraは視野角こそLuma Proと同一ですが画面輝度は最大1,500nitsとLumaシリーズの中で最も明るく、さらにグラス中央のRGBカメラ1基と両サイドのグレイスケールカメラ2基を用いてPro ネックバンドやSpaceWalker(Windows/Mac)との併用で6DoF動作が可能なほか、Pro ネックバンドとの併用時はハンドジェスチャーの認識も可能です。
また、Lumaシリーズには含まれていないものの、Luma Ultra相当のディスプレイ仕様に加えて単体での3DoF動作が可能な「VITURE Beast」も2026年1月に国内で発売される予定です。
外観・デザイン


Lumaシリーズの形状は基本的にVITURE Proのものを踏襲していますが、ツル(テンプル)や光学部分のハウジングなどに透過素材を用いたデザインとなり、さらに左右のツルに「VITURE」のロゴが入ったことで一見した際はProと異なる印象を受けます。正面左右と中央にカメラのレンズが追加されたことも印象が変化した一因でしょう。


国内で同時に発表された3モデルのうちLumaとBeastが通常のUSB Type-C端子を備えているのに対し、Luma Ultra(および国内未発売のLuma Pro)には独自のマグネット接続端子が設けられています。端子構造はVITURE ProやOneに搭載されている従来のものと変わらず、Pro ネックバンドやケーブルなどのアクセサリをそのまま利用可能です。
付属のケースはProのブラック + オレンジから一転し、Pro ネックバンドのポーチと同じグレー + ブルーの配色に変更されています。
使用感
XRグラスとして(VITURE Proとの比較)
Pro ネックバンドとの組み合わせで装着した際、第一印象として画面の明るさと広さを強く感じました。最大輝度と視野角・縦方向サイズの向上によるものと事前に把握していましたが、特に明るさの変化は大きく、Luma Ultraを試した後にVITURE Proへ戻るとProの画面が薄暗く感じるほどです。外部アクセサリと組み合わせての運用のみならず、スマートフォン・タブレットやゲーム機など一般的な映像ソースと接続しての0DoF運用でも動画視聴やゲームプレイの用途で画面性能を発揮できそうです。輝度のみならず鮮明さも十分に確保されており、視度を適切に調節していれば画面の端がぼやけるようなこともありませんでした。
装着した際の重量はLuma Ultraが83g、Proが76gと大差なく、一般的な眼鏡やサングラスに比べると眼前に重さが感じられます。また、10分前後を超えて連続使用すると右側のツルが熱を持つ点もProと同様でした。特に熱については装着に支障をきたすレベルではないものの不快さはあり、何らかの改善を望みたいところです。ヒンジ部分の構造が刷新されツルの先端が軟質素材に変更されたためか、ツルによる頭部の締め付けはProよりもわずかに弱く感じられました。
独自端子によるメリット・デメリットもProと同一です。磁気で固定されるため負荷がかかった際でも安全に外れやすくなっていますが、一般的なUSB Type-C端子に比べると汎用性は限られます。

縦方向の拡大に伴い、付属する3種類のノーズパッドから適切なものを装着しないと高さが合わず、画面の上下が見切れる場合があります。ノーズパッドの変更だけでは見切れを解消しきれない場合、ヒンジ部分の角度を3段階から調節することでも視点の変更が可能です。

"HARMANオーディオ"仕様のスピーカーはProのものに比べて明確に品質が向上し、より低音が強く得られるようになりました。ただし音漏れが構造上不可避であることに変わりはないため、公共の空間で使用する際はイヤホンやヘッドホンを使用したほうが妥当でしょう。
Pro ネックバンドと接続する(6DoF動作)

Luma Ultraで6DoF機能を利用するにはグラスのカメラやセンサーから得られた情報を処理するための外部機器が必要になります。2025年11月時点で外部機器として利用できるのはVITURE Pro ネックバンド、もしくは専用ソフトウェア「SpaceWalker」(Windows/macOS版)をインストールしたPCで、Android/iOS版のSpaceWalkerでの6DoFは未サポートのため注意が必要です。今回はPro ネックバンドで6DoFのテストを行いました。
SpaceWalkerモードに入った状態でクイック設定の左から2番目にある「ヘッドトラッキング」がオンになっていれば6DoFを利用できる状態です。画面サイズはハンドジェスチャーのうち両手の親指と人差し指をつまんだまま左右に動かす動作で調節可能です。
ハンドジェスチャーの操作性が向上
ハンドジェスチャーで操作を行う際、VITURE Pro + ネックバンドの環境ではネックバンドのカメラがやや下を向いていることを意識して手を動かす必要がありましたが、Luma Ultraではグラス側に設けられたカメラを用いることで視野を中心とする広い範囲でのジェスチャー認識が可能になり、操作がより快適になっています。Neckband Remoteや外部入力機器による操作も可能ですが、ハンドジェスチャーのみでの操作も問題なくこなせると言って差し支えないでしょう。
6DoFによる画面固定の安定性は良好です。画面を空間に固定した状態で装着者が動いた際などに画面の位置がズレる、いわゆる「ドリフト」現象については、少なくとも筆者の環境における今回のテストでは発生を確認できていません。
動画をリアルタイムで3D化する「Immersive 3D」
Pro ネックバンドの「3D プレイヤー」アプリには「Immersive 3D」機能が実装されており、ストレージに保存されている動画ファイルを立体的な3D動画に変換して再生することができます。以前は再生時間に限度がありましたが、現在は再生時間の制約なしにリアルタイムでの変換が可能となっています。
手元の動画ソースをいくつか再生してみたところ、ややエッジのギザつきが見られる箇所はあったものの、問題なく3D化が可能でした。ただし処理に多くのリソースを用いるためか再生中の発熱とファンノイズが大きい点が気になります。
Pro モバイルドック経由でSwitchをプレイする
VITUREからはXRグラス向けの周辺機器として「VITURE Pro モバイルドック」が発売されています。Pro モバイルドックは主にVITUREのXRグラスへDisplayPort Alternate Modeによる映像出力を行うための機器で、映像入出力を行う機構と13,000mAhのバッテリーが1つのハードウェアにまとめられており、Nintendo Switch・Switch 2やスマートフォン・タブレット・PC等の機器とXRグラスに電力を供給しつつ同時に2台のグラスで映像を視聴することができます。今回は「Nintendo Switch用 モバイルドックカバー」を併用し、Nintendo Switch 有機ELモデルをPro モバイルドックの背面に一体化した状態で持ち運んでのプレイを試みました。
Luma Ultraを接続することで本体ディスプレイよりも画面サイズが大きくなり輝度・発色も向上、さらにツル部内蔵のスピーカーによる音響の品質向上も含まれるため、本体でプレイする場合よりもより没入感の高いゲームプレイが可能と感じられました。

VITUREからは8bitDoとのコラボレーションによるシースルーデザインのゲームパッド「VITURE x 8BitDo Ultimate 2C Bluetooth コントローラー」・「VITURE x 8BitDo Ultimate 2C ワイヤレス コントローラー」も発売されており、Switchや他の機器でのゲーム体験をより強化可能です。(画像はVITURE x 8BitDo Ultimate 2C Bluetooth コントローラー)
総重量はやや重め
反面、これらの構成の重量はPro モバイルドック 359g + Nintendo Switch 有機ELモデル本体 320g + Nintendo Switch用 モバイルドックカバー 46.5g = 725.5gと大型のタブレット1台を上回り(13インチiPad Pro (M5)が580g前後)、ここにグラスやゲームパッドを含めると携帯時にそれなりの重さを感じる点には留意が必要です。また、この構成では6DoF動作に必要なPro ネックバンドもしくはPC経由での接続ができないため、頭の動きに画面が連動する0DoF状態での運用となります。
総評
VITURE Proよりも更に明るくなったディスプレイにより、Luma Ultraは従来のVITUREシリーズに比べて動画視聴やゲームプレイへの適性が向上した機種と言えます。新しいグラスとしての導入に限らず、ProやOneからのアップグレードでも十分な満足感を得られるでしょう。
評価点
- より明るく、広くなったディスプレイ
- スピーカーの品質も向上
- カメラの搭載によるハンドジェスチャーの精度向上
- 多様な純正アクセサリ
課題点
- 6DoF動作にはPro ネックバンドもしくはSpaceWalkerが必要
- ツルの発熱は変わらず
クーポン情報
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