
SOUNDPEATSから2025年に発売されたイヤーカフ型ワイヤレスイヤホン「Clip1」について、音質や実際の使用感を見ていきたいと思います。
Clip1の主な仕様
Clip1は「CCイヤーカフ(PearlClip Pro)」や「UUイヤーカフ(POP Clip)」に続く、SOUNDPEATSとして3機種目のイヤーカフ型ワイヤレスイヤホンです。UUに類似した2つの部位をブリッジで接続する形状を踏襲しつつ、従来のイヤーカフでは非対応だったLDAC、サラウンド状のエフェクトを加えるDolby Audio、装着状況を基に左右を自動で識別する「AutoSense」などの新機能が盛り込まれています。
| Clip1 | CCイヤーカフ | UUイヤーカフ | |
|---|---|---|---|
| 通信規格 | Bluetooth 5.4 | 同左 | 同左 |
| 対応プロファイル | A2DP (Advanced Audio Distribution Profile) AVRCP (Audio/Video Remote Control Profile) HFP (Hands-Free Profile) | 同左 | 同左 |
| 対応コーデック | SBC/AAC/LDAC | SBC/AAC | 同左 |
| ドライバー仕様 | 口径12mm | 口径12mm | 口径10.8mm |
| 再生時間 | 最大8時間 (単体) 最大40時間 (ケース併用時) | 最大6時間 (単体) 最大24時間 (ケース併用時) | 最大8時間 (単体) 最大30時間 (ケース併用時) |
| 操作方法 | タッチセンサー | タッチセンサー | プッシュボタン |
| Dolby Audio | 対応 | 非対応 | 非対応 |
| 左右識別機能 | AutoSense | ケースからの取り出し時に識別 | なし (左右固定) |
| バッテリー容量 (本体) | 45mAh | 35mAh | 45mAh |
| バッテリー容量 (ケース) | 450mAh | 350mAh | 400mAh |
| 重量 | 約5g (本体片側) 約55.5g (ケース+本体両側) | 約5g (本体片側) 約47.34g (ケース+本体両側) | 約4.75g (本体片側) 約46.73g (ケース+本体両側) |
外観・デザイン


基本的な形状やロゴを意匠としてハウジング部に配置したデザインはUUに類似しているものの、一部がゴールドになったことで上位モデルとしての質感が向上しています。UUに備わっていた操作用ボタンは存在しません。


両端を結ぶブリッジ部分はニッケルチタン合金と液体シリコンを用いた「N-Flex Arch」構造とされています。ボール状の音声出力部はUUとほぼ同じサイズですが、ドライバーサイズの変更に伴ったものか開口部がわずかに大きくなっています。


ケースは手前が溝状になっており、指を掛けることで簡単に開けられます。USB Type-C端子が表面からやや奥まって配置されており、USB4やThunderbolt対応のケーブルはコネクタ周辺がケースと干渉し接続できない場合があるため注意が必要です。付属のケーブルやコネクタ周辺が小さいケーブルであれば問題なく使用できます。
使用感
音質に問題はなし、低音はダイナミックEQで強調可

手元にある音源を再生し実際の音質を確かめた限り、ややシャリシャリとした音の傾向があるように感じられたものの、音質上の問題は見られませんでした。PeatsAudioからDynamicEQ Pro(項目名は従来モデルと同じ『ダイナミックEQ』)をオンにすることで低音が強調され、耳を塞がないイヤーカフタイプの軽い装着感を維持しつつ低音を含む音楽を楽しめます。ダイナミックEQがオフの状態ではやや物足りなさを感じることもあったため、基本はダイナミックEQを常時オンにした状態での利用がベターと思われます。
CC(PearlClip Pro)・UU(POP Clip)とClip1のイヤーカフ3機種でダイナミックEQを有効にして同じ音源を再生した限りでは、DynamicEQ Proと12mmドライバーの恩恵によるものか、Clip1が最も低音が強く出ていると感じられました。
LDACは初期状態でオフになっており、PeatsAudio上でオンにする必要があります。LDACとDolby Audio・マルチポイント接続は排他関係にあり、どちらかを使用している場合はもう一方が利用できません。また、オン・オフ切替時にはClip1の電源がオフになり、再起動後に親機と自動で再接続されます。Galaxy S23 FEの設定画面でLDACを有効にし接続できていることまでは確認できたものの、手元の音源と筆者の聴覚では有意な違いが見られませんでした。
ダイナミックEQの切替が従来モデルよりも高速?
明確に計測を行ったわけではありませんが、Clip1ではCC・UUよりもPeatsAudioからのダイナミックEQ切替が高速化し、ほぼ瞬時に切り替わっているように感じます。(通常のイコライザー切替は1秒程度で反映)
シングルタップ操作は無効、Clip1側での音量調節は要設定
PeatsAudioでは「カスタムキー」の項目から本体のタッチセンサーに割り当てる動作を変更できますが、シングルタップ操作は初期状態で動作が設定されておらず、割り当ても行えません。誤操作防止のための無効化とされており、音量調節をClip1側で行いたい場合はダブルタップもしくはトリプルタップに割り当てる必要があります。
総評
新たにLDACやDolby Audioのサポートが追加されたほか、イヤーカフタイプの短所である低音もDynamicEQ Proによって従来モデルより強化されており、今からイヤーカフタイプの製品を入手したいという方にお勧めできる製品と言えるのではないでしょうか。

