「GL.iNet」の無線LANルーター「GL-AR750S-Ext(Slate)」を入手したので仕様や機能を見てみたいと思います。
(本商品はGL.iNet(GL Technologies / Shenzhen Guanglianzhitong Tech Co., Ltd.)より提供を受けています)
はじめに
GL-AR750S-Extは6月28日現在、総務省の「技術基準適合証明等を受けた機器の検索」において認証情報が確認できない状態となっています。
認証は既に受けているようですが、総務省のウェブサイト上への掲載が行われていないものと思われます。
そのため、本記事では無線関連の機能に関する評価は行わないものとします。
(後日認証情報が確認できる状態になった時点で追記する予定です)
※2019/12/08追記:認証情報が確認できるようになっているため無線関連の内容を追記しました。
基本仕様
- 対応通信方式(5GHz帯):IEEE 802.11ac
- 対応通信方式(2.4GHz帯):IEEE 802.11b/g/n
- 最大通信速度(5GHz帯):433Mbps(IEEE 802.11ac利用時)
- 最大通信速度(2.4GHz帯):300Mbps(IEEE 802.11n利用時)
- CPU:Qualcomm QCA9563(775MHz)
- RAM:DDR2 128MB
- フラッシュメモリ:16MB NOR + 128MB NAND
- WAN端子:1基(1000BASE-T/100BASE-TX/10BASE-T)
- LAN端子:2基(1000BASE-T/100BASE-TX/10BASE-T)
- USB端子:2基(2.0 Standard-A x 1基、2.0 Micro-B x 1基)
- ボタン類:リセットボタン、トグルスイッチ(設定より挙動の変更可能)、microSD/TFカードスロット(最大128GB)
- サイズ:縦100 x 横68 x 高さ24mm
- 重量:86g
前回紹介したGL-MT300N-V2に比べると一回り大きく、性能も向上した上位モデルとなっています。
GL-AR750S-Ext | GL-MT300N-V2 | |
5GHz帯 | 対応 | 非対応 |
外部アンテナ | 2基 | なし |
WAN端子 | 1基 (1000BASE-T) | 1基 (100BASE-TX) |
LAN端子 | 2基 (1000BASE-T) | 1基 (100BASE-TX) |
消費電力 | 6W未満 | 2.75W未満 |
外観・同梱品
箱はGL-MT300N-V2よりも大きく、「CES 2019 Innovation Award Honoree」のロゴがあります。
筐体色は端子部分を除いてマットなグレーで、GL-MT300N-V2のようなプラスチック感は薄れています。
状態を表すLEDは前面に3基(電源・5GHz・2.4GHz)搭載されています。
背面にはWAN端子・LAN端子・USB Standard-A端子・USB Micro-B端子(電源供給用)があります。
右側面にはトグルスイッチとリセットボタン、左側面にはスリットに紛れてmicroSD/TFカードスロットがあります。
microSD/TFカードスロットは電源投入状態での入れ替えには対応しておらず、電源を切った状態で装着するように指示されています。
両側面にあるアンテナは可動式で、180度回転させることができます。
同梱品はLANケーブルとUSB Standard-A to Micro-Bケーブル、電源アダプタ(5V/2A出力)となっています。
設定
電源を投入し接続した端末のブラウザから「http://192.168.8.1」へアクセスして設定画面を開く点はGL-MT300N-V2と共通ですが、今回使用した製品(ファームウェア v3.009)では言語の選択肢に日本語がない状態でした。
※2019/12/08追記:現在利用できるファームウェアでは日本語表示が可能です。
GL-MT300N-V2と同じく、GL-AR750S-Extについても公式サイトで日本語ドキュメントが公開されています。
日本語が利用できない点以外の設定内容は基本的にGL-MT300N-V2と同様で、「More Settings」→「Advanced」からOpenWrt LuCIが開くことも変わりません。
キャプティブポータル
管理画面で「アプリケーション」→「Captive Portal」を開くと、ゲスト用SSIDにキャプティブポータルを設定できます。
Set a Captive Portal - GL.iNet Docs
標準で用意されている画面では「Get Connected」ボタンが表示されるのみですが、実体はルーター内に格納されているHTMLファイルのため変更が可能です。
無線通信(追記)
5GHz帯およびIEEE 802.11acへの対応により、無線部分の通信速度はGL-MT300N-V2よりも向上しています。
無線LANに関する設定は管理画面の「無線」に集約されており、帯域別にSSID・事前共有キーやチャンネル、通信速度を設定できます。
(ゲスト用SSIDに関する設定もこの画面から行えますが、変更できる内容はSSID・暗号化方式・事前共有キーに限られます)
PC ⇔ (1000BASE-T) ⇔ GL-AR750S-Ext ⇔ (IEEE 802.11ac) ⇔ Galaxy S9 SC-02Kの構成でiPerf 3による速度計測を行ったところ、GL-MT300N-V2の計測値を大きく上回る結果となりました。
[ ID] Interval Transfer Bandwidth
[ 5] 0.00-1.00 sec 21.4 MBytes 180 Mbits/sec
[ 5] 1.00-2.00 sec 21.8 MBytes 183 Mbits/sec
[ 5] 2.00-3.00 sec 16.9 MBytes 142 Mbits/sec
[ 5] 3.00-4.00 sec 18.2 MBytes 153 Mbits/sec
[ 5] 4.00-5.00 sec 18.4 MBytes 154 Mbits/sec
[ 5] 5.00-6.00 sec 19.2 MBytes 161 Mbits/sec
[ 5] 6.00-7.00 sec 20.3 MBytes 170 Mbits/sec
[ 5] 7.00-8.00 sec 20.4 MBytes 171 Mbits/sec
[ 5] 8.00-9.00 sec 20.8 MBytes 174 Mbits/sec
[ 5] 9.00-10.00 sec 22.0 MBytes 184 Mbits/sec
[ 5] 10.00-10.03 sec 639 KBytes 193 Mbits/sec
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
[ ID] Interval Transfer Bandwidth
[ 5] 0.00-10.03 sec 0.00 Bytes 0.00 bits/sec sender
[ 5] 0.00-10.03 sec 200 MBytes 167 Mbits/sec receiver
SSHアクセス
管理者パスワードを設定すると、OpenWrt LuCI及びSSHクライアントからユーザー名「root」、パスワード「(管理者パスワード)」でのログインが可能になります。
公式サイトのドキュメントではWindows向けのクライアントとしてWinSCPまたはPuTTYでの設定例が挙げられていますが、その他のクライアントも利用可能です。
発熱
筐体サイズのせいか、一定時間稼働していると筐体の天面と底面がわずかに熱を帯びます。
動作に支障が見られるほどの発熱ではないものの、温度が上がりやすい場所への設置は避けたほうがいいと思われます。
総評
2,000円台で購入できるGL-MT300N-V2に比べると値段は大幅に上がっていますが、100gを切るサイズでIEEE 802.11ac/1000BASE-T対応かつOpenWrtを利用できるルーターの選択肢は他にはあまり無いのではないでしょうか。