
GameSirのマルチプラットフォーム対応ゲームパッド「GameSir G7 Pro」を入手しました。従来のG7シリーズとの違いを中心にデザインや機能を見ていきたいと思います。また、GameSir公式サイトでの購入時に利用可能なクーポンコードを記事末尾に掲載しています。
製品概要
GameSir G7 Proは2025年7月に発売されたPC/Xbox/Nintendo Switch/Android対応ゲームパッドです。ホールエフェクトスティック搭載の有線ゲームパッドとして人気を博しているGameSir G7 SE・G7 HEの流れを汲む製品で、G7シリーズでは初めて無線接続(Xboxは有線接続のみ)に対応し、Mag-Res TMRスティックやマイクロスイッチ式トリガーストップ、4基のマクロボタンを搭載したフラッグシップモデルとなっています。
GameSir G7 Pro | GameSir G7 HE | GameSir G7 SE | |
---|---|---|---|
対応プラットフォーム | PC/Xbox/Nintendo Switch/Android | PC/Xbox | PC/Xbox |
接続方法 | USB (PC/Xbox) 2.4GHz帯無線 (PC) Bluetooth (Nintendo Switch/Android) | USB (PC/Xbox) | USB (PC/Xbox) |
レイアウト | Xbox準拠 | Xbox準拠 | Xbox準拠 |
アナログスティック | GameSir Mag-Res TMRスティック | ホールエフェクトスティック | ホールエフェクトスティック |
ABXYボタン | 光学式マイクロスイッチ | マイクロスイッチ | メンブレン |
アナログトリガー | ホールエフェクトトリガー マイクロスイッチ式トリガーストップ機構を内蔵 | ホールエフェクトトリガー トリガーストップなし | ホールエフェクトトリガー トリガーストップなし |
カスタマイズ可能なボタン | 4基 | 2基 | 2基 |
重量 | 272g | 227g | 221g |
バッテリー容量 | 1,200mAh | - | - |
付属品 | 充電クレードル 2.4GHz帯無線接続用ドングル USBケーブル (3m) 交換用D-Pad Xbox Game Pass Ultimate利用権 (1ヶ月) | USBケーブル (3m) Xbox Game Pass Ultimate利用権 (1ヶ月) | USBケーブル (3m) Xbox Game Pass Ultimate利用権 (1ヶ月) |
外観・デザイン

G7 SEはABXYボタンやアンチフリクションリングの色がアクセントになっていたのに対し、G7 ProはG7 HE同様に彩度の高いアクセントカラーを用いずホワイトとグレーで統一された落ち着きのあるデザインです。

従来の一体型フェイスプレートがボタン・スティック部分と両グリップ部分の3分割式に変更され、グリップ部分のフェイスプレートには裏面同様の滑り止めパターンが刻まれています。着脱方法は従来製品と共通で、フェイスプレートと本体の隙間に爪などを差し込み、上に持ち上げることで取り外せます。G7 SE/HEおよび無印G7のフェイスプレートはG7 Proでも使用可能ですが、その逆には対応していません。

大きな変更ではないものの、特筆すべきと考えられるのがUSB Type-C端子部分です。有線接続が前提のG7 SE/HEではゲームプレイ中に誤って外れることを防ぐためか、端子が本体表面から奥まった位置に設けられており、付属品以外のケーブルはコネクタ外周部の太さによって装着できない事例が見られました。G7 ProではUSB Type-C端子を本体表面と同じ高さに設けつつ、コネクタ外周部の溝に脱着可能なケーブル保持具を取り付ける構造を採用し、保持具を外せば任意のUSB Type-Cケーブルを装着できるようになりました。これにより、保持具ありの安定性と保持具なしのケーブル互換性をユーザーが選択することが可能です。
接続方法
有線接続の場合はホスト側機器と任意のUSBケーブルで接続するだけで利用できます。Xboxとは無線接続がサポートされておらず、必ず有線での接続となります。
付属のドングルを用いた2.4GHz帯無線接続の場合、ドングルを直接もしくはドック経由でPCに接続し、Xboxボタンを押してG7 Proの電源を入れれば接続が完了します。G7 Proとドングルのペアリング作業は必要ありません。
Android端末とBluetoothで接続する場合、本体裏面にあるスイッチをドングルからBluetoothマークの側へ動かすことでペアリング待機状態に入り、Android端末側の設定で「GameSir-G7-Pro」を選択してペアリングを行えます。何らかの理由でペアリングが行えなかった場合、本体下部のイヤホンジャック左にあるペアリングボタンを押すと再度ペアリング待機状態に入ります。
なお、G7 Proの特徴である1,000Hzのポーリングレートを利用できるのはPCに有線もしくは2.4GHz帯無線で接続し、かつGameSir Nexus 2.0でポーリングレートを変更した場合に限られます。(初期状態のポーリングレートは500Hz)
操作感
ボタン

G7 ProはABXYボタン・方向パッド(D-Pad)・左右トリガー(トリガーストップ有効時のみ)・ミニバンパーボタンにマイクロスイッチを採用しています。ABXYボタンは光学式スイッチ、方向パッドは機械式スイッチとされており、どちらもカチカチした触感と軽い力で操作できる点が特徴です。
同じくABXYボタンにマイクロスイッチを用いているGameSir T4 Kaleidと比べるとG7 Proのほうがわずかに軽い力で押し込むことができ、操作時のクリック音も小さく感じました。
従来のG7シリーズはABXYボタンの文字がXbox準拠のカラーリングとなっていましたが、G7 Proのボタンに色分けはありません。とはいえ実際の操作時は位置でボタンを識別するケースが多いと思われるので、実用上の支障は発生しないでしょう。
スティック
G7 Proが備える2基のアナログスティックは「GameSir Mag-Res TMR Sticks」と呼称される、TMR(Tunnel MagnetoResistance)仕様となっています。コスト上昇を伴うため搭載モデルは限られるものの、G7 SE/HEなど多数のゲームパッドに搭載されているホールエフェクトスティックよりも高精度かつスムーズな操作が可能であると謳われています。

Gamepadlaから公開されている「Stick Analyzer」でスティック入力の直線性の確認を行ったところ、手動操作のためブレは見られるものの、概ねリニアに入力できていると思われます。(GameSir Nexus 2.0上でポーリングレートを1,000Hz、スティックのパターンをリニアに設定した状態で測定)

「Joystick Tester」による真円度およびポーリングレートのテストにも問題は見られません。
トリガー

G7 ProにはGameSir Cyclone 2やTarantula Proで採用例のあるマイクロスイッチ式トリガーストップ機構が搭載されています。通常は奥まで押し込めるアナログトリガーとして、アナログ入力が不要で迅速な操作を行いたいシチュエーションではマイクロスイッチで入力を認識するデジタルトリガーとして使用できます。
アナログトリガーの可動範囲を物理的に浅くするタイプのトリガーストップに比べると実装コストが高いためか搭載製品が少なく、GameSir製品での採用例は上に挙げた2機種のみ、他社製品を含めても採用例はさほど多くないものの、非マイクロスイッチのトリガーストップよりも軽い力で操作でき、押した際に明確なタクタイル感を得られるメリットがあります。実際に『BIOHAZARD RE:2』をトリガーストップありでプレイしたところ、主にハンドガン系武器の射撃操作においてトリガーストップなしの状態よりも操作感の向上が実感できました。
両方のトリガーには目の細かい滑り止めパターンが刻まれており、操作時に指が滑るようなことはありません。
追加ボタン

G7 Proには任意の操作を割り当てられるボタンとして背面のL4/R4ボタン、上部のL5/R5ミニバンパーが搭載されています。どちらもパッド表面のMボタンと同時に押すことで割り当てモードに入り、その状態で押した任意のボタンの操作を割り当てられます。また、PCのGameSir Nexus 2.0からはキーボード・マウス操作の割り当ても可能です。
L5/R5ミニバンパーは指で軽く触れるだけで操作でき、ミニバンパーを押そうとした際に誤ってLB/RBやトリガーを押してしまうことはありませんでした。LB/RBに人差し指を置く持ち方をしていれば、指の先を軽く押すような感覚で操作可能です。
L4/R4ボタンはスイッチで物理的に無効化できる構造も含め、G7 SEの同ボタンとほぼ同様の造りに感じられました。よほど力の入った握り方でない限り、無効化していない状態でも誤って押し込むことは少ないと思われます。
クレードル


G7 Proには充電用のポゴピンを備えるクレードルが付属します。本体同様ホワイトとシルバーを基調としたカラーリングでまとめられており、下部には充電開始時に点灯するLEDが内蔵されています。
背面にはUSB Type-C端子、底面の蓋内部にはUSB Standard-A端子とドングル用のスペースがあり、2.4GHz帯無線接続時にドングルが目立たないよう格納できる構造となっています。
ソフトウェア

G7 Proの設定はMicrosoft Storeで配信中の「GameSir Nexus 2.0」から行えます。「2.0」とバージョン表記がなされているものの従来のGameSir Nexusとは完全に独立しており、GameSirのPC向けソフトウェアは
- GameSir Nexus 2.0:G7 Pro / T7 Pro
- GameSir Nexus:G7 / G7 SE / G7 HE / Kaleid / T7
- GameSir Connect:Tarantula Pro / Tegenaria Lite (T3 Lite) / Cyclone 2 / Super Nova / Nova 2 Lite
- GameSir T4k App:T4 Kaleid
の4つが併存している状態です。過去のレビューでも何度か指摘していますが、ソフトウェアに関しては機種ごとに細分化せず可能な限りの共通化を希望したいところです。
細分化がネックとはいえソフトウェアそのものに問題はなく、PCに有線もしくはドングル経由の無線で接続したG7 Proの設定を行えます。ただしGameSir Nexus 2.0のウィンドウからフォーカスを外す(ウィンドウ外をクリックする、他のウィンドウに切り替える等)操作を行うとG7 Proとの接続が解除される点には注意が必要です。




ゲームパッド上に存在するボタンの操作をL4/R4・L5/R5ボタンへ割り当てることはG7 Pro単独でも可能ですが、GameSir Nexus 2.0利用時はマウスボタンやキーボード操作も割り当てられます。
気になった点
G7 Proに限った話ではありませんが、無線接続のサポートに伴いバッテリーが内蔵されているため、有線接続のみのゲームパッドに比べると必然的に重量は増大しています。特にG7 Proは272gと従来のGameSir製ゲームパッドよりも重いため、有線接続のG7シリーズやT7シリーズから移行すると違和感を覚えるかもしれません。
製品名 | 接続方式 | 重量 |
---|---|---|
GameSir G7 Pro | 有線/無線 | 272g |
GameSir G7 SE | 有線 | 221g |
GameSir G7 HE | 有線 | 227g |
GameSir T7 Pro | 有線 | 217g |
GameSir T7 | 有線 | 201g |
GameSir Tarantula Pro | 有線/無線 | 263g |
GameSir Super Nova | 有線/無線 | 263g |
総評

無線接続のサポートやMag-Res TMRスティックの採用にとどまらず、大半の要素でG7 SEからのアップグレードが感じられました。無線化に伴うバッテリー内蔵で重量が増加してはいるものの、すでに使用しているG7/G7 SE/G7 HEからのさらなるステップアップや、費用が掛かっても高品質なマルチプラットフォーム対応ゲームパッドが欲しいといったニーズに合致する製品と言えるのではないでしょうか。