「6GHz帯無線LANシステム」制度化へ、日本では実質480MHz幅を利用可能に

総務省は2022年4月19日、情報通信審議会より「6GHz帯無線LANの導入のための技術的条件」に関する一部答申を受け、関連制度の整備を行うことを明らかにしました。

総務省|報道資料|「6GHz帯無線LANの導入のための技術的条件」

総務省|報道資料|陸上無線通信委員会報告(案)に対する意見募集の結果

「小電力の無線システムの高度化に必要な技術的条件」のうち「無線LANシステムの高度化利用に係る技術的条件」のうち「6GHz帯無線LANの導入のための技術的条件」(概要・PDF)

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6GHz帯における無線LANは2021年5月に策定を完了したIEEE 802.11ax(IEEE 802.11ax-2021)内で規格化済みで、既にアメリカ・韓国などで6GHz帯の「Wi-Fi 6E」に対応する機器が販売されています。また、現在標準化が実施されているIEEE 802.11be(Wi-Fi 7)でサポート予定の320MHz幅を用いた通信には6GHz帯が事実上必須となります。

日本では2021年から「5.2GHz帯及び6GHz帯無線LAN作業班」において固定・衛星系の電気通信業務、電波天文観測、放送事業といった既存の6GHz帯システムとの共用を含む技術的条件の検討が行われており、得られた結果が今回の答申によって示されたことになります。

アメリカ・カナダ・ブラジル・韓国などでは5,925MHzから7,125MHzまで合計1,200MHz幅が無線LANシステム向けに開放されましたが、日本における6GHz帯の開放は欧州と同じく5,925MHzから6,425MHzまでの500MHz幅に留まりました。残る6,425MHzから7,125MHzについては今後も継続して検討を行う予定とされています。

500MHz幅のうち5,925MHzから5,945MHzまでの20MHz幅は高度ITSシステム(V2X)との共用を想定したガードバンドとして確保されるため、6GHz帯無線LANシステムとしては480MHz幅が利用可能です。1,200MHz幅全体を利用できる地域に比べれば少ないものの、160MHz幅のチャンネルを3つ設定することができます。

空中線電力がe.i.r.p 25mW以下と小さいVLP(Very Low Power)モードでは屋外運用が許可され、e.i.r.p 200mW以下のLPI(Low Power Indoor)モードは名称の通り屋内でのみ運用可能です。アクセスポイントがデータベースにアクセスし、他のシステムとの干渉等を考慮して利用可能な周波数帯や送信電力を調整するAFC(Automated Frequency Coordination)が前提となるSP(Standard Power)モードは導入が見送られました。

6GHz帯対応機器としてはCiscoが2022年4月に「Meraki MR57」を国内で発売しており、制度整備が完了した段階で6GHz帯の利用が解禁される予定です。