1~2万円で"Wi-Fi 6"環境を構築できる「AX3000」ルーターの話題

IEEE 802.11ax("Wi-Fi 6")に対応する無線LANルーターの内、「AX3000」クラスの製品が国内でも複数入手できる状態になってきたため、製品毎の特徴を見てみたいと思います。

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はじめに

主に国外メーカーの製品で用いられることが多い表現として、無線LANルーター・アクセスポイントが対応する周波数帯の通信速度を合計し切り上げて対応規格とともに表記するものがあります。

このルールに基づく「AX3000」の表記は5GHz帯でIEEE 802.11axによる最大2,402Mbps、2.4GHz帯で同じくIEEE 802.11axによる最大574Mbpsの通信に対応することを表し、今のところ高性能・高価格のモデルが多いIEEE 802.11ax対応製品の中ではミドルレンジを占めるものとなります。

一覧表(2020年2月現在)

RT-AX3000WRC-X3000GS
(WRC-X3000GSA)
Aterm WX3000HP
PA-WX3000HP
Nighthawk AX4
RAX40-100JPS
Archer AX50
(Archer AX50/A)
メーカーASUSエレコムNEC-PFNETGEARTP-Link
最大通信速度
(5GHz帯)
2,402Mbps
(IEEE 802.11ax)
2,402Mbps
(IEEE 802.11ax)
2,402Mbps
(IEEE 802.11ax)
2,402Mbps
(IEEE 802.11ax)
2,402Mbps
(IEEE 802.11ax)
最大通信速度
(2.4GHz帯)
574Mbps
(IEEE 802.11ax)
574Mbps
(IEEE 802.11ax)
574Mbps
(IEEE 802.11ax)
574Mbps
(IEEE 802.11ax)
574Mbps
(IEEE 802.11ax)
MU-MIMO対応非対応対応(DLのみ)対応対応
ビームフォーミング対応対応対応対応対応
無線LANアンテナ外付け内蔵内蔵外付け外付け
暗号化方式WPA-Personal/Enterprise
WPA2-Personal/Enterprise
WPA3-Personal/Enterprise
WEP
WPA-Personal
WPA2-Personal
WPA-Personal
WPA2-Personal
WPA3-Personal
WPA-Personal/Enterprise
WPA2-Personal/Enterprise
WEP
WPA-Personal/Enterprise
WPA2-Personal/Enterprise
WAN端子1000BASE-T×11000BASE-T×11000BASE-T×11000BASE-T×11000BASE-T×1
LAN端子1000BASE-T×41000BASE-T×41000BASE-T×41000BASE-T×41000BASE-T×4
USB端子3.0 Standard-A×1なしなし3.0 Standard-A×13.0 Standard-A×1
フレッツ網での
IPv6 IPoE

IPv4 over IPv6
非対応対応対応非対応非対応
VPNサーバー対応?非対応非対応OpenVPNPPTP/OpenVPN
発売時期2020/022019/092020/05(予定)2019/072019/10

RT-AX3000(ASUS)

RT-AX3000 | ネットワーク機器 | ASUS 日本

2020年2月に発売される予定の製品で、ASUSのIEEE 802.11ax対応ルーターでは最も安価なモデルとなります。

暗号化方式としてWPA3-PersonalおよびWPA3-Enterprise(要RADIUSサーバー)を利用できる他、他のASUS製ルーターと組み合わせて「AiMesh」によりメッシュネットワークを構築することが可能です。

また、2020年2月時点の国内「AX3000」ルーターでは唯一のBroadcom製無線LANチップセット採用製品でもあります。(RT-AX3000は3コアCPUを含むSoCのBroadcom BCM6750、その他の製品はIntel WAV600シリーズを採用)

国内では販路限定(Amazon.co.jp限定?)での取扱となる予定です。

WRC-X3000GS(エレコム)

Wi-Fi 6(11ax) 2402+574Mbps Wi-Fi ギガビットルーター - WRC-X3000GS

2019年9月に発売されたエレコム初のIEEE 802.11ax対応ルーターです。
販路によっては「WRC-X3000GSA」の型番で販売されている場合がありますが仕様は変わりません。

(Aterm WX3000HPが発売されていない2020年2月時点では)「AX3000」クラスで唯一NTT東西のフレッツ網におけるIPv6 IPoE接続およびIPv4 over IPv6通信をサポートしており、IPv6 IPoE/IPv4 over IPv6対応ルーターを別途用意することなく「transix」「v6プラス」「IPv6オプション」「OCNバーチャルコネクト」の各サービスを利用できます。

端末の同時通信を可能にするMU-MIMOについては、IEEE 802.11axで追加された上り方向(UL MU-MIMO)・IEEE 802.11acから定義されている下り方向(DL MU-MIMO)のどちらもサポートしていないため注意が必要です。

Aterm WX3000HP(NECプラットフォームズ)

Aterm WX3000HP | 製品一覧 | AtermStation

2020年1月に発表され同年5月発売予定のNECプラットフォームズ製ルーターです。

IEEE 802.11ac世代のWG2600HP3・WG2600HSと似通ったデザインの筐体で、フレッツ網におけるIPv6 IPoE接続およびIPv4 over IPv6通信(『transix』『v6プラス』対応)やWPA3-Personalをサポートしています。

NFCに対応しているAndroid/iOS端末では「らくらく「かざして」スタート」によりNFCタグを用いた接続設定が可能です。

Nighthawk AX4 RAX40(NETGEAR)

新世代 Wi-Fi 6 (11ax) 対応ルーター AX3000 | Nighthawk Wi-Fi 6 | RAX40 | ネットギア

Archer AX50(TP-Link)

Archer AX50 | AX3000 デュアルバンド Wi-Fi 6ルーター | TP-Link Japan

2019年10月に発売されたTP-Link製のルーターです。
販路によっては「Archer AX50/A」の名称で販売されている場合がありますが仕様は変わりません。

最大の特徴は実売価格で、店舗にもよるものの他社の「AX3000」クラスよりも数千円安い11,000~12,000円台で販売されています。

PPTP/OpenVPN対応のVPNサーバー機能やAmazon Alexaスキルとの連携にも対応しています。

「AX3000」クラスの子機

上記のルーターと同じく「AX3000」クラスのIntel Wi-Fi 6 AX200が国内でも流通しており、M.2 無線LANカードに対応したPCであればAX200へ換装することで安価にIEEE 802.11axを利用できるようになります。
(ThinkPadシリーズ等、製品によっては利用できない場合があります)

また、AX200をPCI-Express x1スロットに装着可能なカードに組み込んでアンテナをセットにした製品としてTP-Link Archer TX3000EやASUS PCE-AX58BTがあり、PCIeスロットが空いているデスクトップPCに装着すればIEEE 802.11axへの対応が可能です。