Qualcomm、320MHz幅に未対応の地域でもWi-Fi 7で5Gbpsクラスの通信を実現

https://www.qualcomm.com/news/onq/2022/09/qualcomm-makes-wi-fi-7-history-at-ifa-2022-with-hbs-multi-link

2022年9月2日から9月6日にかけてドイツで開催されるIFA Berlin 2022に合わせ、QualcommからIEEE 802.11be(Wi-Fi 7)対応プラットフォーム「FastConnect 7800」のパフォーマンスに関する情報が公開されました。

Qualcomm makes Wi-Fi 7 history at IFA 2022 with HBS Multi-Link

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今回のデモンストレーションでは親機(AP)側にQualcommが2022年5月に発表した「Networking Pro Series Gen 3」、子機(STA)側に同年3月発表の「FastConnect 7800」が用いられています。

IEEE 802.11beにおける最大通信速度を実現するには6GHz帯において320MHz幅での通信を行えることが前提となりますが、6GHz帯が部分的な開放に留まっている地域では連続した320MHz幅の帯域を確保できない、もしくは320MHz幅での運用そのものが想定されていない場合があります。例として本邦における6GHz帯無線LANシステムは令和4年総務省令第59号の公布・施行を以て2022年9月2日より利用可能になったものの、開放された帯域は5,925MHzから6,425MHzの500MHz幅(20MHz幅のガードバンドを含む)に留まり、320MHz幅での通信もIEEE 802.11beが標準化未了の現時点では制度として定められていません。

QualcommがIEEE 802.11be対応製品で打ち出している「HBS(High Band Simultaneous) Multi-Link」は6GHz帯と5GHz帯でそれぞれ160MHz幅の帯域を確保して同時に通信を行い、6GHz帯において320MHz幅の帯域で通信を行った場合と同等の速度を実現するものです。デモンストレーションではこれにより5Gbpsクラスの通信が可能とされています。6GHz帯が全く開放されていない地域であっても5GHz帯において160MHz幅と80MHz幅の帯域を確保でき、こちらのスループットは3.6Gbpsに達するとのことです。

なお、複数帯域を用いた通信はMLO(Multi-Link Operation)としてIEEE 802.11beの標準に含まれる予定で、MediaTekが2022年5月に発表したクライアント向けチップセット「Filogic 380」やBroadcomのIEEE 802.11be製品群もMLOに対応しています。