NURO「F660P」提供開始、ZTE製のWi-Fi 6対応ONT

2022年1月28日現在、ソニーネットワークコミュニケーションズのインターネット接続サービス「NURO 光」で提供される機器の一覧に「ZXHN F660P」が追加され、同製品を対象とする取扱説明書(Version V1.0)が公開されています。

ご提供する光回線機器に関して | NURO 光

ZXHN F660P GPON ONT 取扱説明書(PDF)

Product Finder Results | Wi-Fi Alliance(『F660P』の検索結果)

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F660Pの主な仕様

ZXHN F660PはZTE Corporationが製造する光回線終端装置(ONT : Optical Network Terminal)で、IEEE 802.11ax(Wi-Fi 6)・IEEE 802.11ac/a/b/g/nに対応する無線LANルーターとしての機能を備えています。ZTEは2013年のサービス開始時から「NURO 光」向けの機器を供給しており、F660PはF660T・F660Aに続く3種目のZTE製ONTです。

F660Pの取扱説明書にはハードウェア仕様の詳細が掲載されていないため、取扱説明書内の記述から確認できる範囲の仕様を下表に整理しました。断定できない部分は青色の文字で表記しています。

ZXHN F660P
対応通信規格
(WAN)
ITU-T G.984 GPON
対応通信規格
(無線LAN)
IEEE 802.11ax/ac/a/b/g/n
最大通信速度
(5GHz帯)
最大4,803Mbps?
(4str/160MHz)
最大通信速度
(2.4GHz帯)
最大1,147Mbps?
(4str/40MHz)
無線LAN
暗号化方式
WPA3-SAE(WPA3-Personal)
WPA2-PSK(WPA2-Personal)
WPA-PSK(WPA-Personal)
LAN端子1000BASE-T×4
(内1基はTA接続用)
USB端子-
サイズW40×H230×D215mm

無線LAN

「NURO 光」向けのZTE製品では初、他社製品を含めるとSONYブランドのNSD-G1000T(『NUROスマートライフ』/ 『スマートセット』加入者専用)に続く2例目のIEEE 802.11ax対応製品となりました。

通信速度は明示されていないものの、取扱説明書内「無線LAN詳細設定」の項に5GHz帯が160MHz幅まで、2.4GHz帯が40MHz幅までとの記述があり、Wi-Fi Allianceの認証情報ではどちらの周波数帯も4基のアンテナを用いる4T x 4R構成とされていることから5GHz帯で最大4,803Mbps、2.4GHz帯で最大1,147Mbpsの通信が可能なデュアルバンド「AX6000」クラスと思われます。

5GHz帯では従来からサポートされているW52/W53/W56の各チャンネルに加え、2019年の制度改正で無線LANシステム向けに開放された144chが追加されています。

暗号化方式はWPA2-PSK/WPA-PSKの他にWPA3-SAE(WPA3-Personal)が利用可能になりました。WEPやWi-Fi Enhanced Openには対応していません。

有線LAN・USB

NSD-G1000TはLAN側に2.5GBASE-T対応端子を1基備えていますが、F660PのLAN端子はTA接続用を含む全4基が1000BASE-Tまでの対応に留まっています。2.5GBASE-T対応PCやスイッチなどのクライアントを接続しても通信速度は最大1Gbpsとなり、下り最大2Gbpsの通信速度を単独の有線機器で最大限に活かすことはできません。

また、従来製品に備わっていたUSB端子は存在しません。

F660PとF660A/F660Tの違い

F660Pと既存製品のZXHN F660A・ZXHN F660Tとの主な違いは下表中の太字部分です。

ZXHN F660PZXHN F660AZXHN F660T
対応通信規格
(WAN)
ITU-T G.984 GPONITU-T G.984 GPONITU-T G.984 GPON
対応通信規格
(無線LAN)
IEEE 802.11ax/ac/a/b/g/nIEEE 802.11ac/a/b/g/nIEEE 802.11a/b/g/n
最大通信速度
(5GHz帯)
最大4,803Mbps?
(4str/160MHz)
最大1,300Mbps
(3str/80MHz)
最大450Mbps
(3str/40MHz)
最大通信速度
(2.4GHz帯)
最大1,147Mbps?
(4str/40MHz)
最大450Mbps
(3str/40MHz)
最大450Mbps
(3str/40MHz)
無線LAN
暗号化方式
WPA3-SAE(WPA3-Personal)
WPA2-PSK(WPA2-Personal)
WPA-PSK(WPA-Personal)
WPA2-PSK(WPA2-Personal)
WPA-PSK(WPA-Personal)
WEP
WPA2-PSK(WPA2-Personal)
WPA-PSK(WPA-Personal)
WEP
LAN端子1000BASE-T×4
(内1基はTA接続用)
1000BASE-T×4
(内1基はTA接続用)
1000BASE-T×4
(内1基はTA接続用)
USB端子-USB 2.0 Standard-A×1USB 2.0 Standard-A×1
サイズW40×H230×D215mmW38×H245×D190mmW38×H245×D190mm
電源12V / 2A12V / 2A12V / 2A
ペアレンタル
コントロール
対応--

Wi-Fiの高速化

IEEE 802.11axおよび160MHz幅(HE160)での通信をサポートしたことで、特に5GHz帯において通信速度がF660A/F660Tから大幅に向上しています。

160MHz幅での通信にはIntel製IEEE 802.11axモジュール(AX200/201/210/211/411)を搭載したPCや、ごく一部のAndroidスマートフォンが必要です。iPhone 11以降やAMD Wi-Fi 6E RZ608、MediaTek MT7921/MT7921Kなど2ストリーム/80MHz幅までのクライアントで利用可能な通信速度は最大1,201Mbpsとなります。

付加機能

F660Pでは従来製品にないペアレンタルコントロール機能が追加されました。MACアドレスでクライアントを指定しインターネットに接続可能な曜日・時間帯を管理できる他、ブラックリストまたはホワイトリスト方式でアクセス可能なサイトを制限できます。

USB端子の廃止に伴い、F660A/F660Tに存在したUSBストレージ・DMS(Digital Media Server)・FTPサーバー・Samba関連の設定は削除されています。その他の設定項目についてはF660A/F660Tから大幅な変更はない模様です。

付記:「NSD-G1000TS」

2022年1月時点で下り最大2Gbpsの「NURO 光」向けに提供されているIEEE 802.11ax対応機器はZXHN F660PとNSD-G1000Tのみですが、後者のマイナーチェンジモデルと思われる未発表製品として「NSD-G1000TS」の存在が工事設計認証およびBluetooth SIGの認証情報から確認できます。

総務省 電波利用ホームページ | 技術基準適合証明等を受けた機器の検索(『NSD-G1000TS』の検索結果)

Launch Studio - Listing Details D055612

総務省のウェブサイトで公開されている資料からはNSD-G1000T相当の外観・端子構成、最大4,803 + 1,147Mbpsのデュアルバンド「AX6000」クラス、Bluetooth/Z-Wave対応機器であることが読み取れ、NSD-G1000Tとの明確な違いは見当たりません。

内部写真も公開されており、メインのチップセットはECONET "EN7529DT"、無線LANチップセットはMaxLinear(旧Intel)のWAV624WAV614と思われるものが搭載されるようです。