【レビュー】TP-Link Archer AX4800 160MHz対応Wi-Fi 6ルーター・速度計測結果やAX73との違いなど

TP-Linkの無線LANルーター「Archer AX4800」を入手しました。上位モデルに近い仕様ながら価格を抑えられている同機について、仕様・機能や実際の通信速度を見てみたいと思います。

(本商品はティーピーリンクジャパン株式会社(Twitter : @tplinkjapan)より提供を受けています)

Archer AX4800 | AX4800 デュアルバンド ギガビット Wi-Fi 6ルーター | TP-Link 日本

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製品概要

Archer AX4800は2021年7月に発表された製品で、「Deco」シリーズを除く国内のTP-Link製ルーターでは8機種目となるIEEE 802.11ax(Wi-Fi 6)対応モデルです。Archer AX73に続きフレッツ網におけるVNE各社のIPv4 over IPv6サービスに対応しており、「transix」・「v6プラス」・「IPv6オプション」・「OCNバーチャルコネクト」・「クロスパス」を利用できます。

無線LAN通信速度(5GHz帯1)
空間ストリーム数 / 帯域幅
最大4,324Mbps
4ストリーム / 160MHz
無線LAN通信速度(5GHz帯2)
空間ストリーム数 / 帯域幅
-
無線LAN通信速度(2.4GHz帯)
空間ストリーム数 / 帯域幅
最大574Mbps
2ストリーム / 40MHz
外部アンテナ数6基
WAN端子1基(1000BASE-T)
LAN端子4基(1000BASE-T)
USB端子1基(3.0 Standard-A)
セキュリティ機能TP-Link HomeShield
対応IPv4 over IPv6サービスtransix(DS-Lite)
v6プラス(MAP-E)
IPv6オプション(MAP-E)
OCNバーチャルコネクト(MAP-E)
クロスパス(DS-Lite)

Archer AX4800とAX73の違い

Archer AX4800と上位モデルであるArcher AX73の最大の違いは5GHz帯の通信速度で、最大4,804Mbpsの通信が可能なArcher AX73に対し、Archer AX4800は最大4,324Mbpsとわずかに落とされています。なお、両機とも空間ストリーム数は4T x 4R、最大帯域幅は160MHz(HE160)で変わりません。

この他に筐体デザインと外寸が異なるものの、1基の1000BASE-T対応WAN端子、4基の1000BASE-T対応LAN端子、1基のUSB 3.0 Standard-A端子、1.5GHz 3コアのCPU、HomeShield・OneMesh対応といったハードウェア・ソフトウェアの仕様に違いはなく、5GHz帯の速度を抑え価格を引き下げたArcher AX73相当の製品と言えます。

なお、2021年12月にはArcher AX73と同等の無線LAN通信速度でCPUを3コア(Broadcom BCM6750)から2コア(Qualcomm IPQ0518)に削減した「Archer AX72」も発売される予定です。

外観・デザイン

筐体はArcher AX73と異なり、Archer AX50・AX20・AX10などの従来モデルに放射状のパーツを足したようなデザインとなっています。動作状態を表すLEDは背面の「LED」ボタン長押しでオン・オフを切り替え可能です。

アンテナ基部を含めるとおよそ310×180mm程度のスペースがあれば設置できると思われます。なお、底面には壁掛けに使用可能な穴が用意されていますが、壁掛け用の器具やスタンドなどは標準で付属していません。

IEEE 802.11ac(Wi-Fi 5)世代のエントリーモデルである「Archer C6」(奥)と並べてみました。筐体サイズも大きくなっていますが、アンテナが4本から6本になったことで存在感が増しています。

セットアップ(初期設定)

TP-Linkの既存製品と同じく、Android/iOS向けアプリ「TP-Link Tether」から初期設定と管理を行えます。ガイダンスに従ってルーターを設置し付属のWi-Fi情報カードに記載されているSSIDへ接続、WANと無線LANの設定を行うことで利用可能な状態になります。

Archer AX4800の通信速度

iPerf3をインストールしたPCをサーバーとしてArcher AX4800のLAN端子に接続し、無線LANクライアントとなるAndroidスマートフォンにインストールした「Magic iPerf」から通信速度の計測、「analiti」でリンク速度や信号強度の確認を行いました。サーバー上ではiPerf3の出力内容に加え「TCP Monitor Plus」でトラフィックを監視しています。

Archer AX4800の無線部分は1Gbpsを超える速度に対応していますが、Archer AX4800とiPerf3サーバーが1000BASE-Tでリンクしているため、この環境における転送速度は最大1Gbpsとなります。(Archer AX4800のWAN端子・LAN端子はいずれも1000BASE-Tまでの対応であり、WAN側と通信を行う場合も同様に1Gbpsが上限です)

Archer AX4800側の設定内容はほぼデフォルトのままで、ブラウザからアクセスできる設定画面( http://tplinkwifi.net )より「詳細設定」→「ワイヤレス」→「ワイヤレス設定」内の「OFDMA」および「TWT」、「詳細設定」→「ワイヤレス」→「追加の設定」内の「エアタイムフェアネス」を有効にしています。

  • スマートコネクト(5GHz/2.4GHzのSSID共通化):無効
  • モード:802.11a/n/ac/ax混合(5GHz)・802.11b/g/n/ax混合(2.4GHz)
  • チャンネル幅:自動
  • チャンネル:自動
  • セキュリティ:WPA/WPA2-パーソナル
  • バージョン:WPA2-PSK
  • 暗号化:AES
  • OFDMA:オン
  • TWT:オン
  • エアタイムフェアネス:有効
  • ファームウェア:1.0.0 Build 20210308 rel.63064(4A50)

iPerf3はTCPコネクション数を10、ウィンドウサイズを128KBとした状態で1回あたり5秒間のデータ転送を行っています。(-P 10 -w 128K -t 5)

Wi-Fi 5スマートフォンでの速度

クライアントは2ストリーム・80MHz幅(VHT80)対応、いずれも5GHz帯に接続した状態での測定結果です。

転送速度(最大値)転送速度(5秒平均値)
ルーター付近
(-25dBm前後)
414Mbps405Mbps
壁越し
(-55dBm前後)
384Mbps366Mbps
ルーター付近の階下
(-75dBm前後)
87Mbps85.7Mbps

Wi-Fi 6スマートフォンでの速度

クライアントは2ストリーム・80MHz幅(HE80)対応、いずれも5GHz帯に接続した状態での測定結果です。

転送速度(最大値)転送速度(5秒平均値)リンク速度
ルーター付近
(-20dBm前後)
840Mbps817Mbps1,200Mbps
壁越し
(-47dBm前後)
677Mbps636Mbps1,200Mbps
ルーター付近の階下
(-70dBm前後)
107Mbps91.5Mbps216Mbps

同一ストリーム数・帯域幅のWi-Fi 5スマートフォンに比べ、特にルーターと安定して通信を行える信号の強い領域においてスループットの大幅な向上が確認できます。

Archer AX4800本体の発熱

上記のテストを行うため、無線接続のクライアントと有線LAN接続のサーバー間でおよそ2時間程度トラフィックを流し続けましたが、ルーターの発熱度合いは天面・底面ともわずかに熱を持つ程度でした。直射日光が当たる窓際、室温が高くなる部屋などルーターの設置に適さない環境以外であれば温度上昇によるトラブルは発生しにくいと思われます。

なお、Archer AX4800の動作環境は気温0℃~40℃・湿度10%~90%の範囲内とされています。

所感

他のTP-Link製ルーターと同じく横置きを基本としたデザイン、6本の外部アンテナによって設置場所が多少限られるものの、無線部分の通信速度は必要十分以上を確保できフレッツ網を介したIPv4 over IPv6サービスの利用にも対応しているため、最大1Gbpsまでのインターネット回線契約であれば大半の需要を満たすことができるかと思います。

Archer AX4800は2021年8月12日にECサイトや家電量販店で発売される予定です。