Intel、"CNVio3"対応のWi-Fi 7モジュール「BE201」を公開・"Lunar Lake"との組み合わせを想定

2024年6月4日現在、Intelのウェブサイトで無線LANモジュール「Intel Wi-Fi 7 BE201」(以下BE201)の製品概要(Product Brief)が公開されています。

Intel® Wi-Fi 7 BE201 (Fillmore Peak 2) Product Brief

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BE201(コードネーム"Fillmore Peak 2")はIEEE 802.11be(Wi-Fi 7)とBluetooth 5.4に対応する無線LAN/Bluetoothコンボモジュールです。対応周波数帯ごとの最大通信速度は公表されていませんが、Product Brief内にある以下の記述から少なくとも6GHz帯で最大5,764Mbps(2ストリーム/320MHz)の通信を行えるようです。

"5 Gbps Wi-Fi 7 2x2 client speed" - is based on the current draft of the 802.11be specification, which specifies the theoretical maximum data rate for a 2x2 device that supports 320 MHz channels in the 6GHz band, with a 4096 QAM modulation is 5.76 Gbps.

https://www.intel.com/content/www/us/en/content-details/823795/intel-wi-fi-7-be201-fillmore-peak-2-product-brief.html

このほか、M.2 2230形状のBE201NGWとM.2 1216形状のBE201D2Wの2種類が存在するなど、基本的な仕様は概ねIntel Wi-Fi 7 BE200に準じています。BE200とBE201の最大の違いはBE200のインターフェイスがPCI Express(およびBluetooth用のUSB)なのに対し、BE201では初めて「CNVio3」の採用が明言されたことにあります。

CNVio3の公開情報はBE201のProduct Briefを除いてIntelのサイト上に確認できませんが、次世代のモバイル向けプロセッサとして投入が予定されている"Lunar Lake"の発表においてCNVio3への言及が見られます。

Better I/O: Thunderbolt 4, Thunderbolt Share, Wi-Fi 7 Included - Intel Unveils Lunar Lake Architecture: New P and E cores, Xe2-LPG Graphics, New NPU 4 Brings More AI Performance

AnandTechに掲載されているスライドによると、無線LAN/Bluetoothインターフェイスを構成する要素のうちMAC部分をプロセッサ側(従来のPCH(Platform Controller Hub)に相当するPCT(Platform Controller Tile)内)に、実際に無線通信を行うPHY/RF部分をCRF(Companion RF)モジュールに分離した点は従来のCNVio2/CNVioと変わらず、プロセッサとCRFモジュールを接続する帯域幅がCNVio2の5Gbpsから2.2倍の11Gbpsに引き上げられているとのことです。

前述の通り最大5Gbpsクラスの通信に対応するBE201ではCNVio3の帯域をフルに活かせるとは言えないものの、Wi-Fi 7の機能であるMLO(Multi-Link Operation)のうち、複数の無線I/Fを用いて異なる周波数帯で同時に通信を行うMLMR(Multi-Link Multi-Radio)に対応する新たな製品等での活用が期待されます。

BE201および既存のBE200/BE202もMLOに対応していますが、利用できるのは単一の無線I/Fで異なる周波数帯のリンクを動的に切替可能なeMLSR(Enhanced Multi-Link Single-Radio)に限られます。COMPUTEX 2024ではIntelのWi-Fi 7モジュールとASUS RT-BE96Uを組み合わせ、eMLSRによる遅延の軽減を謳うデモンストレーションが実施されていたようです。

なお、汎用的なPCIe接続であるBE200/BE202をAMDプロセッサと組み合わせた際に正常動作する場合・しない場合の両方が多く報告されていますが、BE201は従来のCNVio2/CNVio対応モジュール同様にIntel環境以外では一切利用不可能、Intel環境でも"Lunar Lake"以降のCNVio3対応プロセッサ・チップセットが必須となる点に注意が必要です。