NURO Wireless 5G向けルーター「WCE-G1000」の詳細・通信方式2種のアグリゲーションで下り最大4.1Gbpsを実現

ソニーワイヤレスコミュニケーションズ株式会社は2022年3月25日、集合住宅向けインターネット接続サービス「NURO Wireless 5G」のエントリー受付を開始しました。本記事では公開されている情報を基に、同サービスにおいて提供される宅内機器「WCE-G1000」の仕様を見てみたいと思います。

デュアルバンドサービスルーター WCE-G1000 取扱説明書(PDF)

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型番・メーカー

固定の「NURO 光」向けにSONYブランドで提供されているNSD-G1000T・NSD-G3000T・NSD-G6000Xに類似した型番ですが、プレフィックスは従来製品と異なる「WCE」です。

公開されている範囲の情報からはメーカーは確認できません。

WAN側インターフェイス

NURO Wireless 5Gは建物内での工事を行わずにインターネット接続サービスを提供するため、4.8~4.9GHz帯のローカル5G(5G NR Band n79)を用いて建物外の基地局とユーザー側のWCE-G1000を接続します。

また、エントリー受付と同時に公開された情報によるとローカル5Gに加えて5GHz帯(W56)のIEEE 802.11axによる基地局との接続にも対応しており、ローカル5GとIEEE 802.11axの併用(アグリゲーション)で下り最大4.1Gbps / 上り最大2.6Gbpsの通信速度を実現するとされています。

マニュアルには「通信モード」に関する記述があり、既定値の「広帯域」のほか5G・IEEE 802.11axのどちらか一方を優先度の高い通信方式とする「プライオリティ」、LAN側端末をIPアドレス単位で指定し通信を優先的に処理する「アプリケーション」の3モードから選択できるようです。

LAN側無線インターフェイス

無線LANアクセスポイントとしてのWCE-G1000はIEEE 802.11ax(Wi-Fi 6)およびIEEE 802.11ac/a/b/g/nをサポートし、5GHz帯でIEEE 802.11axによる最大2,402Mbps(4ストリーム/80MHz)、2.4GHz帯で同1,150Mbps(4ストリーム/40MHz)の通信に対応するデュアルバンド「AX3600」クラスの製品です。

前述の通り5GHz帯のW56は基地局との接続に用いられるため、LAN側ではW52/W53のみが利用できる状態となります。

マニュアルで確認できる無線LAN関連の設定項目は非常に少なく、SSID・パスワード・暗号化方式・ステルスSSIDの有効/無効のみが任意で設定可能となっています。なお、暗号化方式は一般的な無線LANルーター相当のWPA3-SAE・WPA2-PSK・WPA-PSKに加え、オープンなネットワークを暗号化された状態で提供するWPA3-OWE(Opportunistic Wireless Encryption / Wi-Fi Enhanced Open)を選択可能です。

LAN側有線インターフェイス

有線インターフェイスは1基の5GBASE-T/2.5GBASE-T対応端子と3基の1000BASE-T対応端子が備わっています。無線LAN利用時の通信速度は最大2,402Mbpsのため、NURO Wireless 5Gの通信速度を最大限に活かすためには5GBASE-T対応のクライアントを有線で接続する必要があります。

ただし普及帯のNICやスイッチ等で増加しつつある2.5GBASE-Tに比べて5GBASE-T対応機器は数が少なく、QNAP QNA-UC5G1Tのような限られた種類の5GBASE-T対応製品、もしくは更に高価ながら多くが5GBASE-Tにも対応している10GBASE-T対応製品を利用することになります。

なお、現時点でNURO Wireless 5Gには固定電話機能は存在せず、WCE-G1000にもTA機器や電話機を接続するための端子は用意されていません。