Wi-Fi 6E/Wi-Fi 7対応スマートフォンの一覧【2023年5月更新】

Android/iOSスマートフォンにおけるWi-Fi 6Eの対応状況をまとめています。製品ごとの対応帯域幅や空間ストリーム数、IEEE 802.11be(Wi-Fi 7)の対応有無についても確認できる範囲で整理しています。

スポンサーリンク

Wi-Fi 6Eの概要

Wi-Fi 6EはWi-Fiにおける新たな周波数帯として6GHz帯を利用可能にしたものです。従来より用いられていた2.4GHz帯および5GHz帯に加えて6GHz帯(5,925MHz - 7,125MHz)が開放され、他のシステム(電子レンジ・レーダー等)や無線LAN機器からの干渉を受けにくい通信を行えることが見込めます。

規格としては2.4GHz/5GHz帯のWi-Fi 6と同じIEEE 802.11axに基づいており、帯域幅やアンテナ数(空間ストリーム数)が等しい場合の最大通信速度はWi-Fi 6対応機器で5GHz帯を利用する場合と変わりません。

Wi-Fi 6Eにおいて使用されうる周波数帯としては5,925MHzから7,125MHzの合計1,200MHz幅が想定されていますが、実際に利用できる周波数帯は他のシステムとの干渉を回避するため地域によって異なります。アメリカ・カナダ・韓国などの地域では1,200MHz幅をフルに利用できるのに対し、日本やヨーロッパ諸国では5,925MHzから6,425MHzの500MHz幅がWi-Fi 6E向けに割り当てられています。
Countries Enabling Wi-Fi 6E | Wi-Fi Alliance

Wi-Fi 7の概要

2024年の策定完了を目標として標準化作業が進行中のIEEE 802.11beをDraft段階の仕様に基づいて実装した製品が2023年以降登場しており、これらの製品は現行のWi-Fi 6・Wi-Fi 6Eに続く世代として「Wi-Fi 7」を名乗っています。

IEEE 802.11beには最大帯域幅および変調方式の拡大(Wi-Fi 6:160MHz/1024QAM→Wi-Fi 6:320MHz/4096QAM)、複数の周波数帯をまとめて通信を行うMLO(Multi-Link Operation)の導入といった要素が盛り込まれる見込みです。

なお、中国では6GHz帯無線LANシステムの運用が認可されていないことから、中国市場向けモデルには6GHz帯をサポートせず5GHz帯と2.4GHz帯のみでWi-Fi 7を利用可能としている製品も存在します。

一覧表

メーカー製品名対応
帯域幅
Wi-Fi 6Eの
国内利用
Wi-Fi 7SoC
ASUSZenfone 9×-Qualcomm
Snapdragon 8+ Gen 1
ASUSROG Phone 7
ROG Phone 7 Ultimate
×Qualcomm
Snapdragon 8 Gen 2
ASUSROG Phone 6D
ROG Phone 6D Ultimate
×-MediaTek
Dimensity 9000+
ASUSROG Phone 6
ROG Phone 6 Pro
×-Qualcomm
Snapdragon 8+ Gen 1
ASUSROG Phone 5s
ROG Phone 5s Pro
×-Qualcomm
Snapdragon 888+
ASUSROG Phone 5
ROG Phone 5 Ultimate
×-Qualcomm
Snapdragon 888
GooglePixel 7a80MHz-Google
Tensor G2
GooglePixel 7
Pixel 7 Pro
160MHz
(要更新)
-Google
Tensor G2
GooglePixel 6
Pixel 6 Pro
Pixel 6a
160MHz×-Google
Tensor
Meizu18s Pro--Qualcomm
Snapdragon 888+
motorolaedge 40 pro-Qualcomm
Snapdragon 8 Gen 2
motorolaThinkPhone
by Motorola
--Qualcomm
Snapdragon 8+ Gen 1
motorolaedge 30 ultra--Qualcomm
Snapdragon 8+ Gen 1
motorolaedge 30 fusion--Qualcomm
Snapdragon 888+
motorolarazr 2022--Qualcomm
Snapdragon 8+ Gen 1
motorolaedge (2022)--MediaTek
Dimensity 1050
motorolaedge+ (2022)
edge 30 pro
×-Qualcomm
Snapdragon 8 Gen 1
motorolaedge (2021)
edge 20
×-Qualcomm
Snapdragon 778G
nubiaREDMAGIC 8 ProQualcomm
Snapdragon 8 Gen 2
POCOF4 GT×-Qualcomm
Snapdragon 8 Gen 1
SamsungGalaxy S23 Ultra
Galaxy S23+
Galaxy S23
160MHz-Qualcomm
Snapdragon 8 Gen 2
for Galaxy
SamsungGalaxy Z Fold4160MHz×-Qualcomm
Snapdragon 8+ Gen 1
SamsungGalaxy S22 Ultra
Galaxy S22+
160MHz×-
SamsungGalaxy S21 Ultra160MHz×-
SamsungGalaxy Z Fold3160MHz×-
SONYXperia 1 V-Qualcomm
Snapdragon 8 Gen 2
SONYXperia 5 IV160MHz-Qualcomm
Snapdragon 8 Gen 1
SONYXperia 1 IV160MHz-Qualcomm
Snapdragon 8 Gen 1
Xiaomi13
13 Pro
-Qualcomm
Snapdragon 8 Gen 2
Xiaomi12
12 Pro
--Qualcomm
Snapdragon 8 Gen 1
XiaomiMi 11 Ultra--Qualcomm
Snapdragon 888
ZebraTC78160MHz--Qualcomm
QCM6490
ZebraTC58160MHz--Qualcomm
QCM6490

ASUS

ROG Phone 7シリーズ

ROG Phone 7 | ROG Phone 7 | Gaming Phones|ROG - Republic of Gamers|ROG Global

ROG Phone 7 Ultimate | ROG Phone 7 Ultimate | Gaming Phones|ROG - Republic of Gamers|ROG Global

Qualcomm Snapdragon 8 Gen 2を搭載するゲーミングスマートフォンとして2023年4月に発表されました。通常モデルのROG Phone 7と背面ディスプレイを備える上位モデルのROG Phone 7 Ultimateが存在し、どちらもWi-Fi 6Eに対応しています。仕様上はWi-Fi 7にも対応しているものの、利用可否は6GHz帯同様に地域ごとの規制状況によって異なります。

Zenfone 9

Zenfone 9 - Tech Specs|Phones|ASUS Global

5.9インチと現代のスマートフォンとしては比較的小型なZenfone 9ですが、投入時点でのハイエンドSoCであるQualcomm Snapdragon 8+ Gen 1を搭載しWi-Fi 6Eにも対応しています。空間ストリーム数は2x2、最大帯域幅は明らかになっていません。

2022年11月には日本市場への投入が発表されましたが、グローバルサイトと日本語サイトの製品情報を比較するとWi-Fi 6Eに関する記述が削除されており、少なくとも発売時点ではROG Phone 6シリーズ同様にWi-Fi 6Eを利用できないものと思われます。

ROG Phone 6シリーズ

ROG Phone 6 Pro | Gaming Phones|ROG - Republic of Gamers|ROG Global

ROG Phone 6シリーズは全モデルがWi-Fi 6Eに対応しています。空間ストリーム数は2x2とされているものの、帯域幅は明らかになっていません。2022年9月には国内での発表が行われましたが、日本語版サイト上の仕様には6GHz帯に関する記述が含まれていません。

ゲーミングスマートフォンとして最大リフレッシュレート165Hzの有機ELディスプレイ、画面側に設置された2基のスピーカー、本体側面のタッチを超音波で検出しゲーム内の操作として反映するAirTrigger 6などの要素を備える他、アクセサリとして本体をアクティブに冷却しサーマルスロットリングを抑制するAeroActive Cooler 6、本体に取り付けて使用可能なROG Kunai 3 Gamepad for ROG Phone 6が用意されています。

Google

Pixel 7・Pixel 7 Pro

Pixel phone hardware tech specs - Pixel Phone Help

Pixel 7・Pixel 7 ProにおけるWi-Fi 6Eのサポート状況はPixel 6シリーズ同様に地域差があり、2022年10月の発売時より同年12月まで日本ではWi-Fi 6Eを利用できない状態となっていました。しかし2022年12月より配信が開始されたソフトウェアアップデートによりWi-Fi 6Eの国内利用が解禁されています。

Pixel 7a

2023年に登場した普及帯モデルのPixel 7aは発売時点よりWi-Fi 6Eをサポートしますが、最大帯域幅がPixel 7・Pixel 7 Proの160MHz幅から80MHz幅に変更されています。

Pixel 6シリーズ

Google Pixel 6 Pro スペック・仕様 - Google ストア

GoogleオリジナルSoCのTensorを搭載するPixel 6シリーズはフラッグシップモデルのPixel 6 Pro、スタンダードモデルのPixel 6、普及モデルのPixel 6aがすべてWi-Fi 6Eをサポートしており、いずれも160MHz幅(HE160)の通信に対応していることが「Pixel スマートフォンのハードウェア技術仕様」に明記されています。

Pixel 7シリーズが前述の通りアップデートによって日本国内でもWi-Fi 6Eを利用可能になったのに対し、Pixel 6シリーズは2023年5月現在も日本国内ではWi-Fi 6Eを利用できない状態です。

motorola

edge 40 pro

Best Performance Smartphone | motorola edge 40 pro | motorola ROE

2023年4月に発表されたSnapdragon 8 Gen 2搭載スマートフォンです。6GHz + 5GHz + 2.4GHzのトライバンドに対応し、仕様には「Wi-Fi 7 ready」の表記も見られます。

Samsung

Galaxy S23シリーズ

Specs | Samsung Galaxy S23 Ultra | The Official Samsung Galaxy Site

Specs | Samsung Galaxy S23 & S23+ | The Official Samsung Galaxy Site

2023年に発表されたGalaxy S23シリーズはGalaxy S23 Ultra・Galaxy S23+・Galaxy S23の全モデルがWi-Fi 6Eをサポートしており、6GHz帯において160MHz幅を用い最大2.4Gbpsの通信を行えます。日本国内ではGalaxy S23 UltraおよびGalaxy S23が発売される予定で、どちらもWi-Fi 6E対応アクセスポイントとの通信、および6GHz帯を用いたWi-Fiテザリングを利用可能です。

Galaxy Z Fold4

Specs | Samsung Galaxy Z Fold4 | The Official Samsung Galaxy Site

2022年8月に発表された折り畳み(フォルダブル)スマートフォンです。前世代のGalaxy Z Fold3と同じくWi-Fi 6Eに対応し、160MHz幅での通信をサポートしています。なお、同時に発表されたGalaxy Z Flip4は従来のGalaxy Z Flipシリーズと同様にWi-Fi 6E非対応です。

2022年9月には国内でもNTTドコモ・auから発売されましたが、日本語版の製品ページではWi-Fi 6Eに関する記述を確認できず、ドコモ版(SC-55C)の仕様でも6GHz帯には非対応とされています。

Galaxy S22 Ultra/S22+

Galaxy S21シリーズでは最上位のGalaxy S21 Ultraのみに留まっていたWi-Fi 6Eへの対応がGalaxy S22シリーズではS22 UltraおよびS22+の2機種に拡大されました。どちらも最大2,402Mbps(2ストリーム/160MHz)の通信をサポートしています。

REDMAGIC 8 Pro

REDMAGIC 8 Pro Gaming Smartphone Specs - REDMAGIC (Global)

中国市場向けには2022年12月、グローバル向けには2023年1月に発表された画面下カメラ搭載のゲーミングスマートフォンです。日本では2023年2月より日本公式サイト、2023年4月よりAmazon.co.jpで販売が開始されました。

中国での発表時は5GHz帯の複数チャンネルを同時利用するHBS(High Band Simultaneous)と4096QAMをサポートする「Wi-Fi 6 增强版」扱いでしたが、グローバル版では6GHz帯を含むトライバンド構成が明示され、製品ページでもIEEE 802.11be(Wi-Fi 7)対応であることが謳われています。

Xiaomi

Xiaomi 13シリーズ

Xiaomi 13 Pro | Xiaomi Global

中国以外の地域で販売されるXiaomi 13シリーズの内、Xiaomi 13 ProとXiaomi 13は利用可能な周波数や規格が地域によって異なるとの但し書きがあるものの、仕様に「Wi-Fi 7」および「Wi-Fi 6E」の表記が見られます。無線LANプラットフォームはQualcomm FastConnect 7800です。

中国市場向けのXiaomi 13 Pro・Xiaomi 13は6GHz帯を利用できませんが、5GHz帯のW52内で160MHz幅、W58内で80MHz幅のチャンネルを用いて合計240MHz幅を確保し、対応アクセスポイントとの間で最大4.3Gbpsの通信を行えるとされています。

全新Wi-Fi 7 ! 让小米13系列和小米万兆路由器更快更强更好用

Xiaomi 12シリーズ

Xiaomi 12 Pro - Xiaomi Global

中国以外の地域で販売されるXiaomi 12シリーズの内、Xiaomi 12 ProとXiaomi 12は仕様にWi-Fi 6Eの記述が見られます。グローバルサイトには地域によって利用可否が異なり発売後のアップデートで対応すると記載されているものの、利用可能な地域や対応時期などは明言されていません。

Xiaomi 12シリーズ以外のグローバルモデルではMi 11 UltraもWi-Fi 6Eに対応しています。

なお、中国市場向けの上位モデル(Xiaomi 13シリーズ・Xiaomi 12Sシリーズ・Redmi K60シリーズ等)が対応している「Wi-Fi 6 增强版」は変調方式に4096QAMを用いることで通常のWi-Fi 6(1024QAM)よりも最大通信速度を引き上げるものであり、6GHz帯で通信を行うWi-Fi 6Eとは異なります。

Zebra TC58

TC53/TC58モバイルコンピュータスペックシート | Zebra

TC53/TC58|株式会社ブレイン・オートID事業部

5G/LTEに対応し音声通話をサポートしていますが一般的なスマートフォンではなく、小売・流通などの環境で用いられるハンドヘルドコンピュータとしての性質が強い製品です。Qualcommの5G/Wi-Fi 6E対応プラットフォームであるQCM6490を採用し、包含されたQualcomm FastConnect 6900により6GHz帯において最大2,402Mbps(2ストリーム/160MHz)の通信をサポートしています。

Wi-Fi 6E非対応の機種

iPhoneシリーズ

Appleは2019年に発売されたiPhone 11シリーズ以降の全スマートフォンでWi-Fi 6に対応していますが、2022年発売のiPhone 14シリーズに至るまでWi-Fi 6Eには非対応です。

802.11 compatibility and frequency band: 802.11ax (Wi-Fi 6), 802.11ac (Wi-Fi 5), 802.11n (Wi-Fi 4), 802.11a, 802.11b/g and 2.4 GHz or 5 GHz.

https://support.apple.com/guide/deployment/iphone-wi-fi-specification-details-dep268652e6c/web

iPadは2022年に発売されたiPad Pro 12.9インチ(第6世代)、およびiPad Pro 11インチ(第4世代)に限り、iPadOS 16.2以降へのアップデートでWi-Fi 6Eが利用可能になります。

また、2023年2月に発売されたM2 Pro/M2 Max搭載MacBook Pro 14インチ・16インチモデル、およびM2/M2 Pro搭載Mac miniもmacOS 13.2以降を要件として日本国内でWi-Fi 6Eを利用可能です。