
Android/iOSスマートフォンにおけるWi-Fi 6Eのサポート状況をまとめています。製品ごとの対応帯域幅や空間ストリーム数についても確認できる範囲で整理しています。
目次
Wi-Fi 6Eの概要
Wi-Fi 6EはWi-Fiにおける新たな周波数帯として6GHz帯を利用可能にしたものです。従来より用いられていた2.4GHz帯および5GHz帯に加えて6GHz帯(5,925MHz - 7,125MHz)が開放され、他のシステム(電子レンジ・レーダー等)や無線LAN機器からの干渉を受けにくい通信を行えることが見込めます。
規格としては2.4GHz/5GHz帯のWi-Fi 6と同じIEEE 802.11axに基づいており、帯域幅やアンテナ数(空間ストリーム数)が等しい場合の最大通信速度はWi-Fi 6対応機器で5GHz帯を利用する場合と変わりません。
一覧表
メーカー | 製品名 | 対応 帯域幅 | SoC |
---|---|---|---|
ASUS | Zenfone 9 | Qualcomm Snapdragon 8+ Gen 1 | |
ASUS | ROG Phone 6D ROG Phone 6D Ultimate | MediaTek Dimensity 9000+ | |
ASUS | ROG Phone 6 ROG Phone 6 Pro | Qualcomm Snapdragon 8+ Gen 1 | |
ASUS | ROG Phone 5s ROG Phone 5s Pro | Qualcomm Snapdragon 888+ | |
ASUS | ROG Phone 5 ROG Phone 5 Ultimate | Qualcomm Snapdragon 888 | |
Pixel 7 Pixel 7 Pro | 160MHz | Google Tensor G2 | |
Pixel 6 Pixel 6 Pro Pixel 6a | 160MHz | Google Tensor | |
Meizu | 18s Pro | Qualcomm Snapdragon 888+ | |
motorola | ThinkPhone by Motorola | Qualcomm Snapdragon 8+ Gen 1 | |
motorola | edge 30 ultra | Qualcomm Snapdragon 8+ Gen 1 | |
motorola | edge 30 fusion | Qualcomm Snapdragon 888+ | |
motorola | razr 2022 | Qualcomm Snapdragon 8+ Gen 1 | |
motorola | edge (2022) | MediaTek Dimensity 1050 | |
motorola | edge+ (2022) edge 30 pro | Qualcomm Snapdragon 8 Gen 1 | |
motorola | edge (2021) edge 20 | Qualcomm Snapdragon 778G | |
nubia | REDMAGIC 8 Pro | Qualcomm Snapdragon 8 Gen 2 | |
POCO | F4 GT | Qualcomm Snapdragon 8 Gen 1 | |
Samsung | Galaxy Z Fold4 | 160MHz | Qualcomm Snapdragon 8+ Gen 1 |
Samsung | Galaxy S22 Ultra Galaxy S22+ | 160MHz | |
Samsung | Galaxy S21 Ultra | 160MHz | |
Samsung | Galaxy Z Fold3 | 160MHz | |
SONY | Xperia 5 IV | 160MHz | Qualcomm Snapdragon 8 Gen 1 |
SONY | Xperia 1 IV | 160MHz | Qualcomm Snapdragon 8 Gen 1 |
Xiaomi | 12 12 Pro | Qualcomm Snapdragon 8 Gen 1 | |
Xiaomi | Mi 11 Ultra | Qualcomm Snapdragon 888 | |
Zebra | TC78 | 160MHz | Qualcomm QCM6490 |
Zebra | TC58 | 160MHz | Qualcomm QCM6490 |
Zenfone 9

Zenfone 9 - Tech Specs|Phones|ASUS Global
5.9インチと現代のスマートフォンとしては比較的小型なZenfone 9ですが、SoCとしてQualcomm Snapdragon 8+ Gen 1を搭載しWi-Fi 6Eにも対応しています。空間ストリーム数は2x2、最大帯域幅は明らかになっていません。
2022年11月には日本市場への投入が発表されましたが、グローバルサイトと日本語サイトの製品情報を比較するとWi-Fi 6Eに関する記述が削除されており、少なくとも発売時点ではROG Phone 6シリーズ同様にWi-Fi 6Eを利用できないものと思われます。
ROG Phone 6シリーズ

ROG Phone 6 Pro | Gaming Phones|ROG - Republic of Gamers|ROG Global
ROG Phone 6シリーズは全モデルがWi-Fi 6Eに対応しています。空間ストリーム数は2x2とされているものの、帯域幅は明らかになっていません。2022年9月には国内での発表が行われましたが、日本語版サイト上の仕様には6GHz帯に関する記述が含まれていません。
ゲーミングスマートフォンとして最大リフレッシュレート165Hzの有機ELディスプレイ、画面側に設置された2基のスピーカー、本体側面のタッチを超音波で検出しゲーム内の操作として反映するAirTrigger 6などの要素を備える他、アクセサリとして本体をアクティブに冷却しサーマルスロットリングを抑制するAeroActive Cooler 6、本体に取り付けて使用可能なROG Kunai 3 Gamepad for ROG Phone 6が用意されています。
Pixel 7シリーズ
Pixel phone hardware tech specs - Pixel Phone Help
Pixel 7シリーズにおけるWi-Fi 6Eのサポート状況はPixel 6シリーズ同様に地域差があり、2022年10月の発売時より同年12月まで日本ではWi-Fi 6Eを利用できない状態となっていました。しかし2022年12月より配信が開始されたソフトウェアアップデートによりWi-Fi 6Eの国内利用が解禁されています。
Pixel 6シリーズ
Google Pixel 6 Pro スペック・仕様 - Google ストア
GoogleオリジナルSoCのTensorを搭載するPixel 6シリーズはフラッグシップモデルのPixel 6 Pro、スタンダードモデルのPixel 6、普及モデルのPixel 6aがすべてWi-Fi 6Eをサポートしており、いずれも160MHz幅(HE160)の通信に対応していることが「Pixel スマートフォンのハードウェア技術仕様」に明記されています。
Galaxy Z Fold4

Specs | Samsung Galaxy Z Fold4 | The Official Samsung Galaxy Site
2022年8月に発表された折り畳み(フォルダブル)スマートフォンです。前世代のGalaxy Z Fold3と同じくWi-Fi 6Eに対応し、160MHz幅での通信をサポートしています。なお、同時に発表されたGalaxy Z Flip4は従来のGalaxy Z Flipシリーズと同様にWi-Fi 6E非対応です。
2022年9月には国内でもNTTドコモ・auから発売されましたが、日本語版の製品ページではWi-Fi 6Eに関する記述を確認できず、ドコモ版(SC-55C)の仕様でも6GHz帯には対応していないとされています。
Galaxy S22 Ultra/S22+
Galaxy S21シリーズでは最上位のGalaxy S21 Ultraのみに留まっていたWi-Fi 6Eへの対応がGalaxy S22シリーズではS22 UltraおよびS22+の2機種に拡大されました。どちらも最大2,402Mbps(2ストリーム/160MHz)の通信をサポートしています。
Samsungのスマートフォンではこの他にGalaxy Z Fold3 5G、タブレットではGalaxy Tab S8シリーズ(Galaxy Tab S8 / Galaxy Tab S8+ / Galaxy Tab S8 Ultra)がWi-Fi 6Eに対応しています。
REDMAGIC 8 Pro
REDMAGIC 8 Pro Gaming Smartphone Specs - REDMAGIC (Global)
中国市場向けには2022年12月、グローバル向けには2023年1月に発表されたゲーミングスマートフォンです。日本での発売も予定されているものの、詳細な発売時期や価格などは2023年1月時点で明らかになっていません。
中国での発表時は5GHz帯の複数チャンネルを同時利用するHBS(High Band Simultaneous)と4096QAMをサポートする「Wi-Fi 6 增强版」扱いでしたが、グローバル版では6GHz帯を含むトライバンド構成が明示され、製品ページでもIEEE 802.11be(Wi-Fi 7)対応であることが謳われています。
Xiaomi 12シリーズ

中国以外の地域で販売されるXiaomi 12シリーズの内、Xiaomi 12 ProとXiaomi 12は仕様にWi-Fi 6Eの記述が見られます。グローバルサイトには地域によって利用可否が異なり発売後のアップデートで対応すると記載されているものの、利用可能な地域や対応時期などは明言されていません。
Xiaomi 12シリーズ以外のグローバルモデルではMi 11 UltraもWi-Fi 6Eに対応しています。
なお、中国市場向けの上位モデル(Xiaomi 13シリーズ・Xiaomi 12Sシリーズ・Redmi K60シリーズ等)が対応している「Wi-Fi 6 增强版」は変調方式に4096QAMを用いることで通常のWi-Fi 6(1024QAM)よりも最大通信速度を引き上げるものであり、6GHz帯で通信を行うWi-Fi 6Eとは異なります。
Zebra TC58
TC53/TC58モバイルコンピュータスペックシート | Zebra
5G/LTEに対応し音声通話をサポートしていますが一般的なスマートフォンではなく、小売・流通などの環境で用いられるハンドヘルドコンピュータとしての性質が強い製品です。Qualcommの5G/Wi-Fi 6E対応プラットフォームであるQCM6490を採用し、包含されたQualcomm FastConnect 6900により6GHz帯において最大2,402Mbps(2ストリーム/160MHz)の通信をサポートしています。
Wi-Fi 6E非対応の機種
iPhoneシリーズ
Appleは2019年に発売されたiPhone 11シリーズ以降の全スマートフォンでWi-Fi 6に対応していますが、2022年発売のiPhone 14シリーズに至るまでWi-Fi 6Eには非対応です。
802.11 compatibility and frequency band: 802.11ax (Wi-Fi 6), 802.11ac (Wi-Fi 5), 802.11n (Wi-Fi 4), 802.11a, 802.11b/g and 2.4 GHz or 5 GHz.
https://support.apple.com/guide/deployment/iphone-wi-fi-specification-details-dep268652e6c/web
iPadは2022年に発売されたiPad Pro 12.9インチ(第6世代)、およびiPad Pro 11インチ(第4世代)に限り、iPadOS 16.2以降へのアップデートでWi-Fi 6Eが利用可能になります。
また、2023年2月に発売される予定のM2 Pro/M2 Max搭載MacBook Pro 14インチ・16インチモデル、およびM2/M2 Pro搭載Mac miniもmacOS 13.2以降を要件として日本国内でWi-Fi 6Eを利用可能です。